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最後の勝者

青龍




もう2度と会うことは無いと思っていた。
会うときは覚悟が必要とも思っている。
その日が遂に来てしまった
しかし、病院ということは望みはある

「ようカズ。10年ぶりだな」
「暁やないの。久しぶりやな」
そこには大人になった最愛の彼女の姿があった
しかし、体には包帯が全身に巻かれていた
「何したんだ」
「もう話してもいいかな…
親切高校の本当の顔知ってる?」
「話で聞いた事があるけど、確かどこかの大企業がスポンサーで人体実験もしていたらしい
隠されているが事件で死者も出てるとか」
「ウチ薬飲んで力が目覚めたやろ
やからウチは逃げて、復讐を…ちょっと違うな」
暁はカズの顔を見る
しかし、暁の注目は右手に移る
「カズ…お前右利きだよな」
「せやけど」
「じゃあ何で右手に点滴してるんだ」
「シーツ外したら判る」
真面目な顔をしていう
暁はシーツをずらす
「おい、カズ・・・」
そこにはあるはずのものが無かった
「爆発に巻き込まれてな。
左手だけですんだんが不幸中の幸いやわ」
「これだけですんだじゃ無いだろ。
全身包帯巻いてるし死にかけてるじゃないか」
カズは目を瞑り過去を思いだす
「学校から出てから色々な所に行って、沢山の刺客を倒した
近年は学校の親会社や敵対会社を潰すことをやってきた
仲良くなった仲間も沢山死んだ」
「辛かったんだな」
「けど、救いはあった。
親友も一緒にいたし、何しろあんたの活躍を見れるのが嬉しかった」
「親友って浜野の事か」
「っそ、浜野朱里」
「そいつも同時期に居なくなってな」
「そりゃそう。
一緒に出て行ったんだから」
「……」
暁は黙り込む
「ウチは決めたんや…
ウチみたいな人を増やさないように元凶を潰す」
カズの顔には決意があふれていた
「しかし、相手が悪かった。
世界規模の企業だった。
ウチは出来るだけの事はやったが結果がこれやわ」
苦笑いの顔をする
「笑ってもいいよ」
「笑えるかよ」
沈黙の時間が流れる
「すいませんけど、面会時間が過ぎました」
沈黙を破ったのはナースだった
暁が来たのがデイゲームの試合後で時間も面会時間を過ぎていた
「すいません」
暁はあわてて出て行く
「明日から遠征だからいつになるか判らないけど、絶対また来るからな」
「はいな。
楽しみに待っとります」
カズは笑顔で見送る
そこにあるのは昔とは違うカズの笑顔だった



終日後

「似合わん服着て。誰の葬式やったん」
病室にスーツ姿の暁がいる
「お前の親友の浜野。
ずっと行方不明だったけど、最近死体が出てきたらしい」
「そうなん…」
「お前、何か知ってるんじゃないか」
「さあね〜。一緒に出て行ったけど、分かれてからは何も」
少し隠している感じでカズは話す
「そうか…それならいいんだが……。
カズ、退院したらどうするんだ」
「ウチにはまだやならアカン事があるねんな…」
「…」
暁は黙り込む
「左手はなくなったけど、せやったら右手で槍を振り回して、
ウチみたいな人を増やさないようにしないと…」
カズの顔に悲壮感が漂う
「もういいだろ!!
そんな体になってまでお前は良くやった。」
「ウチの何がわかるん
こんな体にさせられて、挙句の果てには実験研究させられかけた
表には出てないけど、サイボーグと同じで世の中には沢山隠れてるんやで」
カズは強い口調で言う
「カズが怪我するのは俺はもう、見たくない!
高校の時だって、修学旅行の時偶然見た背中の怪我だって…
静かに一緒に暮らそう
自分の命を無駄にするな!」
「……」
沈黙の時間が流れる
次に口を開いたのは暁だった
「葬式の場で浜野からお前宛に充てた手紙を渡されたから開けるぞ」
カズの左手を使えないのを考慮して暁は中身をカズにわたす


カズ、この手紙を読んでる事は、私はもう壊れてるんだろう
悔いは無い。全てが終わっているはずだ
ここまで来れたのはあなたのおかげ。ありがとう

話は替わるけど、今回の仕事の内容からみて
無茶して病院にでもいるんじゃない
良い機会だからゆっくりやすみなさい
その後はあなたは自由に過しなさい
薬もいつもの場所に隠してあるから
あなたは能力があるだけで普通の人なのだから
一般人に戻って西野君と一緒に過しなさい


「朱里…
友達が言うんならしゃあないな〜
暁の言う通り静かに暮らすわ。
ふつつか者ですがヨロシク」
カズの顔に昔の………高校までの笑顔が戻る
「ようやく俺が好きだった笑顔になったな」

病室で流れていたテレビからニュースが流れる
「ジャジメントグループが日本から撤退する事を発表しました。
大神グループに続き大企業が日本から撤退します。」
多大な犠牲の上に成り立つ勝利
彼女は傷つきながらも勝者になった







fin