Sponsored Link

「メダチ…… お前ならいつかここに辿り着くと思っていたぞ」

「神…… 私は今身震いしています、私如きがこんな大それたことをしていいのかと!」

「何も言うなメダチ! この世界はどちらがいいオトコか、それだけが全てだ。俺たちに言葉は要らない、そうだろう?」

「神…… 分かりました、そこまで言うのならば私は何も言いません。ただ全身全霊を尽くしあなたに打ち勝ちます」

「うむ、よく言ったぞ。思い返せばいつも楽しかったなあ、メダチ……」

「はい、本当に。私は今でも神と二人がかりで創ったオトコの像のことが――

「あ、あのさー?」

 なにやら回想シーンに突入しそうだった雰囲気に耐え切れず俺はメダチの言葉を制した。このままではいつ勝負が始まるのかも分からない。

「なんですか私の次に美しいオトコ。感動のオトコシーンを邪魔しないで下さい」

「うむ、なんだ俺の次の次に美しいオトコ。お前とはメダチの次にオトコファイトをしてやるから安心しろ」

「いや結構だから。そんなことより、まだその『オトコファイト』ははじまらないのか?」

 オトコファイト。俺がこの二人に付き合わされた原因だった。なんでも自分の体を見せ付けあい、相手の体にウットリしたら負けの勝負らしい。今回は宇宙一オトコらしいオトコを決めるいわば頂上決戦だった。俺はその記念すべき試合のレフェリーに抜擢された宇宙一不幸な男だ。

「オトコらしくないですね、もう勝負は始まっているんですよ?」

「うむ、我々オトコは相対した時には既に臨戦状態にあるのだ」

「はぁ……」

「まあ確かに口論戦を理解するにはまだオトコポイントが足りないのかもしれません、彼には」

「そうだな。あいつのオトコらしさはあとで俺が直々にあげよう」

「頼むから勘弁してくれ」

「それでは」

「うむ、来いメダチ!」

「ウホッ!」

 神が叫ぶや否や、二人はポージングをはじめた。メダチのポーズはアドミナブル・アンド・サイ、手を後頭部で組み腹筋と脚の筋肉を強調するポーズだ。このポーズなら細めの体形であるメダチを十二分にオトコらしく魅せる事ができる。対する神のポーズはダブルバイセップス・フロント。両手を上に挙げ力瘤を作る最も有名なポーズ、だが全身を鍛えてある神のオトコらしさを余すところ無く魅せつけている!

「って何で俺は普通に解説してるんだぁーーーーーっ!!!」

「やかましいぞクドウ、神聖なオトコファイトはもっと静かに観戦しろ!」

「そうです、あなたのオトコポイントを減点しますよ!」

 いや、別にしてもいいんだけどなーとは口に出しては言わない。一応ペラヘブンより安くワクチンが買えるしな。

「フオオオオオオオオ」

「コオオオオオオオオ」

 なんか叫んでるし。二人の行動に特に意味は無いのだろう。ちなみにさっきの解説で既に分かっているとは思うが二人は上半身裸だ。俺は首を曲げられるところまで曲げて見ないように努力しているのだがそれでも少し視界の隅に肌色が見える。あっ、今発光しなかった?

「なかなかいいオトコじゃないかメダチ…… またオトコを上げたな」

「神こそ全く衰えていないようで…… オトコの鏡ですよ本当に」

 彼らは全ての会話を『オトコ』で出来るんじゃないだろうか。俺はオトコの多義性と利便性について調べようと思ったがあまりにくだらないので止めた。

「だがここまでだ、俺のオトコを見ろっ!!」

「ああそんな禁止コードスレスレの台詞を言うなーっ!! って、このポーズは…… モスト・マスキュラーッ!! 拳を体の前で突き合わせ上半身をかがめた姿は人間のありとあらゆる筋肉を最も迫力のある形に見せてくれる、神の場合は体格の良さも手伝って正に鬼に金棒って俺は何で真面目に分析までしてるんだあああああああああ!!」

 ピカクリスタルに頭をガンガン打ち付ける。きっと熱でもあるのだ、そう信じたい。血が出たが冷静になれたので気にしないことにする。

 メダチの顔は苦しそうだ。ふとすればとろんと下がりそうな目を必死に吊り上げ、自身のポーズは崩さない。あ、また発光した。

「神…… あなたは強い…… やはり私にはもう、無理だ……」

「あっ、メダチの目がウットリしてる! この勝負…… 神の勝ちだ!!」

 俺は神の手を取り上に挙げた。メダチはウットリとした目で神を眺めている。負けたのにどこか嬉しそうだ。

「いやー終わった終わった。思いのほか早く終わってよかったよ。前の勝負は五日もかかったんだろ?」

「何を言っているんだクドウ? 今回の勝負は二週間だったぞ?」

「……はい?」

「もしかして、この者は神の肉体にウットリしていたのでは?」

「え?」

「なるほど、それなら確かに分かるな…… 俺もこの勝負、一瞬のように感じたぞ」

「同感です。しかしクドウさんがここまで早くオトコに目覚めるとは意外でしたが、これも偏に神のオトコのお陰ですな」

「何を言うかメダチ、お前あってこその覚醒だぞ。ハッハッハ!」

「ちょっと待て、何を話しているんだお前ら!」

「隠さなくていいですよクドウさん。あなたはもう私たちの仲間です」

「そうだ、久々に兄弟の契りを交わさないか!」

「名案です、神! さっそくそのように……」

「わっ、な、何をするんだ! 俺を羽交い絞めにしてどうする? っていうか契りってなんだよ! おい! やめろ! 脱ぐな! 離せ、離してくれ! うわっ、で、でかアーッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お見せできないシーンが続くので、キレイな花と回想シーンでお楽しみください。

 

 

「ペラヘブンでは愛なんて言葉は意味を持たないのさ」

「どうしてでやんす?」

「ペラヘブンの人たちは全ての物事を金で考えるからだよ」

「やな星でやんすねー、やっぱり人間に必要なのは愛でやんすよ」

「そうかもしれないな。いつか俺も素敵な愛に巡り会えるといいけど……」

「抜け駆けは無しでやんすよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかえりでやんすー、長い滞在…… ってどうしたでやんす、すっかりやつれちゃって!」

「……二人同時は…… 無理……」(バタッ)

「わーっ、クドウくんが大変でやんすー!!」

 

 

 

 ゲームオーバー アルバム10.5「括約筋の限界」

 

 


 ゴミ箱だから! ゴミ箱ですから!

 これを書いているときの一番の苦痛はポージングのサイトを見てる自分を想像した時でした。

 今度ちゃんとした恋愛モノ書くから許してください、マジで。

 あ、キレイな薔薇の写真提供サマです→http://sozai-free.com/