15 「こ、こすぎさぁ〜〜ん・・・・・」 静かな森の中で、急に情けない声があがる。当然、声の主は倉刈だ。 「ば、バカヤロッ!大声を出すなっ・・・! ただでさえ銃をブッ放した後だってのに・・・! そんなに死にてえのか・・? あんな奴に尾行されてるのも気付かずに・・・!」 「す、スイマセン・・・。 わたし、その・・・・。 娘のことで頭がいっぱいでして・・・。 その・・・・・。ぜんぜん気がつきませんでした・・・」 「ムスメ・・・?まあどうでもいい。 ・・・・俺はもう行くぜ。もうここに用はないからな」 マグナムを片手に立ち去ろうとする小杉。だが、その前に倉刈が立ちふさがる。 「・・・・・・どけよ。もう用はないと言ったはずだ」 「あ、すいません・・・・。 その、小杉さんに・・・お願いがありまして・・・」 「・・・・はぁ?お願い・・・?」 「その、一緒に・・・行動していただけませんか・・・? 私、仲間を探していて・・・。みんなで脱出しようって思ってて・・・」 「・・・・一緒?仲間?脱出? いいか、耳の穴かっぽじって良く聞いとけ。 まずな、お前と一緒に行動するメリットがない、 というかデメリットが多すぎる。 お前みたいな奴は恰好のマトだからな。俺が一緒に狙われるのはごめんだ。 次にだ。俺はお前の仲間じゃない。 確かに幸せ島では一緒に生活していたが、 俺はお前を仲間に思ったことなんてねえ。軽々しく仲間なんて言うな。 それに、だ。脱出って言ったな・・・・? どうやってやる気なんだ?」 「え・・・。それは・・・。 みんなで考えれば良い案も出るかなぁと・・・・」 「・・・・・重要なところは人任せかよ。話になんねえな。 ていうかよ、無理なんだよ。脱出なんて。 身体に爆弾埋め込まれてんだろ? あっちはボタン一つで殺し放題ってことじゃねえか。 どーせ発信器でもつけられてるんだろうから、 逃げようとしたらみんなで肉塊になるわけだ。 ・・・・・ふざけんじゃねえ。俺はごめんだ。 やるんだったら一人で死にな」 「あ・・・。う・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・。 じゃ、じゃあ・・・・・。 む、娘を一緒に・・・・」 「そう来ると思ったぜ。いいことを教えてやる。 俺のこの島での目的だ・・・・。 ヘルガ、マコンデ、江川、浅上、塚本・・・・・。 こいつらを殺す。俺を見下したこいつらを、な。 ・・・・その後は考えてねえ。考えても無駄だからな」 「そんな・・・・。所長さん達を・・・」 「おい。・・・なんで奴らの肩を持とうとする・・・? お前だって散々酷い目にあってきただろう・・・」 「それはそうですが・・・・!何も殺さなくても・・・」 「・・・・あの島での俺達は犬だった。 命令に従い、背くと殺される。 ・・・・ふざけるなよ!俺は人間だ・・・・! これはいい復讐のチャンスなんだ・・・・! 俺を陥れた奴ら、犬として扱った奴らへのな・・・・!」 「・・・・・・・・」 「話はこれだけだ。いい加減俺は行くぞ。 ・・・お前は見逃してやる。早く逃げろ」 「・・・・・・・」 小杉が歩き出す。倉刈は止めなかった。・・・いや、止められなかった。 (小杉さんは、自分の道を歩んでる。 それが間違ってるかなんて、私には分からない。 でも、小杉さんにとっては、きっとそれが正しい道・・・・。 だから、私には止められない。・・・たとえ、その道が間違っていようと) 小杉のいなくなった方に背を向け、今までとは逆方向に歩き出す。 (私も・・・・。強くなりたい。 自分の道を信じる力が欲しい。 次に小杉さんに会うまでに、きっと強くなってみせる。 それまでは・・・・背を向けあって行く) ――――――。 倉刈は、知る由もなかった。 小杉と会うのは、これが最後になるということを。 【15 倉刈 仁志 決心】 【17 小杉 優作 町へ】 【残り45人】