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「こ、こすぎさぁ〜〜ん・・・・・」

静かな森の中で、急に情けない声があがる。当然、声の主は倉刈だ。

「ば、バカヤロッ!大声を出すなっ・・・!
 ただでさえ銃をブッ放した後だってのに・・・!
 そんなに死にてえのか・・?
 あんな奴に尾行されてるのも気付かずに・・・!」

「す、スイマセン・・・。
 わたし、その・・・・。
 娘のことで頭がいっぱいでして・・・。
 その・・・・・。ぜんぜん気がつきませんでした・・・」

「ムスメ・・・?まあどうでもいい。
 ・・・・俺はもう行くぜ。もうここに用はないからな」

マグナムを片手に立ち去ろうとする小杉。だが、その前に倉刈が立ちふさがる。

「・・・・・・どけよ。もう用はないと言ったはずだ」

「あ、すいません・・・・。
 その、小杉さんに・・・お願いがありまして・・・」

「・・・・はぁ?お願い・・・?」

「その、一緒に・・・行動していただけませんか・・・?
 私、仲間を探していて・・・。みんなで脱出しようって思ってて・・・」

「・・・・一緒?仲間?脱出?
 いいか、耳の穴かっぽじって良く聞いとけ。
 まずな、お前と一緒に行動するメリットがない、
 というかデメリットが多すぎる。
 お前みたいな奴は恰好のマトだからな。俺が一緒に狙われるのはごめんだ。
 次にだ。俺はお前の仲間じゃない。
 確かに幸せ島では一緒に生活していたが、
 俺はお前を仲間に思ったことなんてねえ。軽々しく仲間なんて言うな。
 それに、だ。脱出って言ったな・・・・?
 どうやってやる気なんだ?」

「え・・・。それは・・・。
 みんなで考えれば良い案も出るかなぁと・・・・」

「・・・・・重要なところは人任せかよ。話になんねえな。
 ていうかよ、無理なんだよ。脱出なんて。
 身体に爆弾埋め込まれてんだろ?
 あっちはボタン一つで殺し放題ってことじゃねえか。
 どーせ発信器でもつけられてるんだろうから、
 逃げようとしたらみんなで肉塊になるわけだ。
 ・・・・・ふざけんじゃねえ。俺はごめんだ。
 やるんだったら一人で死にな」

「あ・・・。う・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・。
 じゃ、じゃあ・・・・・。
 む、娘を一緒に・・・・」

「そう来ると思ったぜ。いいことを教えてやる。
 俺のこの島での目的だ・・・・。
 ヘルガ、マコンデ、江川、浅上、塚本・・・・・。
 こいつらを殺す。俺を見下したこいつらを、な。
 ・・・・その後は考えてねえ。考えても無駄だからな」

「そんな・・・・。所長さん達を・・・」

「おい。・・・なんで奴らの肩を持とうとする・・・?
 お前だって散々酷い目にあってきただろう・・・」

「それはそうですが・・・・!何も殺さなくても・・・」

「・・・・あの島での俺達は犬だった。
 命令に従い、背くと殺される。
 ・・・・ふざけるなよ!俺は人間だ・・・・!
 これはいい復讐のチャンスなんだ・・・・!
 俺を陥れた奴ら、犬として扱った奴らへのな・・・・!」

「・・・・・・・・」

「話はこれだけだ。いい加減俺は行くぞ。
 ・・・お前は見逃してやる。早く逃げろ」

「・・・・・・・」

小杉が歩き出す。倉刈は止めなかった。・・・いや、止められなかった。

(小杉さんは、自分の道を歩んでる。
 それが間違ってるかなんて、私には分からない。
 でも、小杉さんにとっては、きっとそれが正しい道・・・・。
 だから、私には止められない。・・・たとえ、その道が間違っていようと)

小杉のいなくなった方に背を向け、今までとは逆方向に歩き出す。

(私も・・・・。強くなりたい。
 自分の道を信じる力が欲しい。
 次に小杉さんに会うまでに、きっと強くなってみせる。
 それまでは・・・・背を向けあって行く)

――――――。

倉刈は、知る由もなかった。

小杉と会うのは、これが最後になるということを。

【15 倉刈 仁志 決心】
【17 小杉 優作 町へ】
【残り45人】