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睨み合う二人。

一人は男、もう一人は女。

片方はナイフを、もう片方は銃を持っている。

―――小角 雄二(8番)と、ヘルガ(41番)だ。

先に口を開いたのは、小角だった。

「・・・・撃たないんスか?」

「私は赤の他人を無闇に殺すほど阿呆ではない。
 ・・・お前が死にたがっているなら話は別だが」

「・・・・・。
 ・・・・日本語うまいッスねぇ?」

「ある所の収容者達から学んだ。
 ・・・・お前こそ、私を殺しに来ないのか?」

「俺は人殺しなんてしたくないッス。
 ・・・たとえ、自分が死ぬことになっても」

「無駄死にをする気なのか?」

「・・・殺し合いがしたくないだけッス。
 でも・・・できるなら死にたくもないッス」

「ではどうする気なのだ?」

「・・・・大神を、倒したいッス。
 ・・・・方法とかは考えてないッスけど」

「倒す?それは「殺す」と考えていいのか?
 人殺しはやりたくないんじゃないのか?」

「そ、それは・・・・。
 ・・・・・。
 大神は、殺されたってしかたないッス。
 こんな事をやるなんて、自分で人殺しをしているようなもんッスからね」

「・・・つまり、人殺しをした奴は殺されても文句は言えない、と?」

「そういうことッス」

「・・・・・。
 ―――ならば、私もお前に殺されても文句は言えないな」

「!・・・・・・・。
 ・・・・どういうことッスか?」

小角がナイフを持ち直す。

「私は、死刑囚だ。
 ―――私は、ある島の所長をやっていた。
 その島は、借金をした者が連れてこられ強制労働させられる場所だった。
 厳しい生活と少ない娯楽の中、死亡者も多かった。
 ・・・私は、従わない者には銃を向けた。
 その時の私は、自分は正しいと信じて疑わなかった。
 ―――だが、それにも終わりが来た。
 ある収容者が反乱を起こし、私達は敗北した。
 団長は死亡し、私と副所長は捕まり死刑と裁かれた。
 それからしばらくして、私のもとに反乱の首謀者が来た。
 アイツは私に正義―――いや、悪について語った。
 そして、もう会うことはないだろうと言って、どこかへ行った。
 ・・・今の私は、自分のしたことが正しかったのか分からない。
 ・・・・・・。
 ・・・余計なことまで話してしまったな。
 要は、私は人殺しだということだ。
 さあ、どうする・・・?
 私は殺されても仕方がないと思っている。
 私は、反撃をする気など無い。
 やろうと思えば、楽にできるはずだ・・・・」

「・・・・・・俺は」

小角が、ナイフをしまった。

「・・・俺は、できないッス」

「・・・・・・」

「アンタは人殺しッス。
 それも、大神と同じぐらいの。
 でも・・・・・。
 でも、アンタは自分の罪に気付いてるッス。
 自分がやったことに対して、その重さが分かってるッス。
 ―――大神は、分かろうとしてないッス。
 そこが、アンタと大神の違いッス。
 ・・・・・だから、アンタは殺せないッス」

「・・・・・・」

「それに・・・・」

「?・・・なんだ」

「アンタは、その過去に苦しんでるように見えるッス。
 罪の重さに気付き、それで終わらず、苦しんでるように見えるッス。
 それは多分、今現在も・・・。
 ―――アンタは、決着をつけようとしてるッスね?
 このゲームによって、自分の過去を・・・清算する気ッスね?」

「・・・・・なぜ分かった?」

「話し方で分かるッス。
 ―――すごく、哀しそうなしゃべり方だったッス。」

「・・・・・・そうだ。
 私は、このゲームで過去とのケリを付ける。
 ―――人殺しとして殺されるかもしれないが、構わない。
 ・・・・全てが終わった後なら、だがな」

「・・・決着、つけるんスね?」

「ああ。お前のお陰で迷いが晴れた。
 ・・・・・礼を言おう」

「別に俺は話を聞いただけッス。
 ・・・・ところで・・・・・」

「・・・・なんだ?」

「俺も、一緒に行動していいッスか?
 その・・・・・大神との戦い。
 あ、「決着」の方に手は出さないッス。
 ただ・・・。大神の方は・・・・俺一人じゃ・・・・」

「・・・・・構わない。好きにしろ。
 だが・・・・・・・・・。
 私を恨む者はこの島にもいる。
 私と一緒にいると狙われるかもしれないぞ?」

「それでもッス。
 覚悟はできてるッス」

「・・・・私はヘルガ。お前は?」

「小角ッス。小角 雄二ッス」

「・・・・・・・・ありがとう・・・・ユウジ」

最後の言葉は、小さくて小角には聞こえなかった。

【8 小角 41 ヘルガ 行動を共に】
【残り43人】