22 睨み合う二人。 一人は男、もう一人は女。 片方はナイフを、もう片方は銃を持っている。 ―――小角 雄二(8番)と、ヘルガ(41番)だ。 先に口を開いたのは、小角だった。 「・・・・撃たないんスか?」 「私は赤の他人を無闇に殺すほど阿呆ではない。 ・・・お前が死にたがっているなら話は別だが」 「・・・・・。 ・・・・日本語うまいッスねぇ?」 「ある所の収容者達から学んだ。 ・・・・お前こそ、私を殺しに来ないのか?」 「俺は人殺しなんてしたくないッス。 ・・・たとえ、自分が死ぬことになっても」 「無駄死にをする気なのか?」 「・・・殺し合いがしたくないだけッス。 でも・・・できるなら死にたくもないッス」 「ではどうする気なのだ?」 「・・・・大神を、倒したいッス。 ・・・・方法とかは考えてないッスけど」 「倒す?それは「殺す」と考えていいのか? 人殺しはやりたくないんじゃないのか?」 「そ、それは・・・・。 ・・・・・。 大神は、殺されたってしかたないッス。 こんな事をやるなんて、自分で人殺しをしているようなもんッスからね」 「・・・つまり、人殺しをした奴は殺されても文句は言えない、と?」 「そういうことッス」 「・・・・・。 ―――ならば、私もお前に殺されても文句は言えないな」 「!・・・・・・・。 ・・・・どういうことッスか?」 小角がナイフを持ち直す。 「私は、死刑囚だ。 ―――私は、ある島の所長をやっていた。 その島は、借金をした者が連れてこられ強制労働させられる場所だった。 厳しい生活と少ない娯楽の中、死亡者も多かった。 ・・・私は、従わない者には銃を向けた。 その時の私は、自分は正しいと信じて疑わなかった。 ―――だが、それにも終わりが来た。 ある収容者が反乱を起こし、私達は敗北した。 団長は死亡し、私と副所長は捕まり死刑と裁かれた。 それからしばらくして、私のもとに反乱の首謀者が来た。 アイツは私に正義―――いや、悪について語った。 そして、もう会うことはないだろうと言って、どこかへ行った。 ・・・今の私は、自分のしたことが正しかったのか分からない。 ・・・・・・。 ・・・余計なことまで話してしまったな。 要は、私は人殺しだということだ。 さあ、どうする・・・? 私は殺されても仕方がないと思っている。 私は、反撃をする気など無い。 やろうと思えば、楽にできるはずだ・・・・」 「・・・・・・俺は」 小角が、ナイフをしまった。 「・・・俺は、できないッス」 「・・・・・・」 「アンタは人殺しッス。 それも、大神と同じぐらいの。 でも・・・・・。 でも、アンタは自分の罪に気付いてるッス。 自分がやったことに対して、その重さが分かってるッス。 ―――大神は、分かろうとしてないッス。 そこが、アンタと大神の違いッス。 ・・・・・だから、アンタは殺せないッス」 「・・・・・・」 「それに・・・・」 「?・・・なんだ」 「アンタは、その過去に苦しんでるように見えるッス。 罪の重さに気付き、それで終わらず、苦しんでるように見えるッス。 それは多分、今現在も・・・。 ―――アンタは、決着をつけようとしてるッスね? このゲームによって、自分の過去を・・・清算する気ッスね?」 「・・・・・なぜ分かった?」 「話し方で分かるッス。 ―――すごく、哀しそうなしゃべり方だったッス。」 「・・・・・・そうだ。 私は、このゲームで過去とのケリを付ける。 ―――人殺しとして殺されるかもしれないが、構わない。 ・・・・全てが終わった後なら、だがな」 「・・・決着、つけるんスね?」 「ああ。お前のお陰で迷いが晴れた。 ・・・・・礼を言おう」 「別に俺は話を聞いただけッス。 ・・・・ところで・・・・・」 「・・・・なんだ?」 「俺も、一緒に行動していいッスか? その・・・・・大神との戦い。 あ、「決着」の方に手は出さないッス。 ただ・・・。大神の方は・・・・俺一人じゃ・・・・」 「・・・・・構わない。好きにしろ。 だが・・・・・・・・・。 私を恨む者はこの島にもいる。 私と一緒にいると狙われるかもしれないぞ?」 「それでもッス。 覚悟はできてるッス」 「・・・・私はヘルガ。お前は?」 「小角ッス。小角 雄二ッス」 「・・・・・・・・ありがとう・・・・ユウジ」 最後の言葉は、小さくて小角には聞こえなかった。 【8 小角 41 ヘルガ 行動を共に】 【残り43人】