25 忍者。今時珍しい・・・というか、普通はいない。 当然、誰も信じてはくれない。 ただの忍者マニアと思われ、それでおしまい。 コーチとして以外の付き合いは無く、私はいつも一人だった。 孤独には慣れていた。忍者なんて、そんなものだ。 占い師として町には出ていた。 当然占い師というのは仮の理由で、本当は情報収集のため。 一応占いの心得はあったため、小遣い稼ぎ程度にはなっていたが。 占い師として過ごしながら、町をぼんやりと見ていた。 人々の動きを、見ていた。 平和で、幸せで、そして・・・ 醜いな、と思った。 私が忍者になることは家系から決まっていた。 朝早く起床し、軽く体を動かす。 一日二度の精進料理を食べ、依頼された仕事か修練、農業をする。 夜は一日の行動を省みて、忍者整形をし、疲れを癒す。 深い眠りは厳禁で、寝るときは仮眠。 忍者の一日はざっとこんなものだ。 仕事は、私達を知っているわずかな人から依頼される。 内容は、ほとんどが一級犯罪だった。 重要書類を盗み出したり、時には人を殺したり。 失敗すれば、私達のことを公にされる・・・・。 私達は、犬以外の何でもなかった。 ある任務で、私はどこかの豪邸に忍び込んだ。 内容はある人物の暗殺。なんでも政府のお偉いさんだそうだ。 私にとって、そんなことはどうでもよかった。 ―――庭を横切ろうとしたとき、事は起こった。 飛んでくる一本のクナイ。 私は音が鳴らないようにそれをいなし、飛んできた方角を見た。 そこにいたのは、私の父親だった。 父親は、私の標的の護衛を依頼されていたらしい。 私達は、戦った。 勝負は一瞬で着いた。 私の刀が、父の腹を貫いていた。致命傷、だった。 私には、父が手加減をしたようにしか見えなかった。 別れの言葉を言うことなく、父は姿を消した。 私はすぐに任務に戻った。 暗殺を終え、自分の里に帰った。 ―――そこで、生まれて初めて涙が出た。 その晩、私は里を出た。 抜け忍が重い罪になる・・・そんなことは知っていた。 しかし、もう耐えられなかった。 追っ手はすぐに来た。 私は里では有力な忍者だったため、返り討ちにするのはたやすかった。 町に出て、私はモグラーズのコーチになった。 能力重視で年齢、性別、過去の経歴は一切不問――これに惹かれた。 ただ、男装はした。 追っ手との戦いにモグラーズは巻き込みたくなかったから。 これは、私の過去との戦いだったから。 ホモの筋力コーチ、権力に従う一軍監督、ぶっきらぼうなベテラン、マニアな投手、そして突然やる気を出し始めたアイツ。 モグラーズは、面白かった。 なぜ、突然こんなことを思い出したのか・・・? その理由は、迅雷自身にも分からなかった。 島を駆ける忍者が一人。 彼の目的は、争いを鎮めること。 ―――大神の思惑通りになっている犬を止めること。 【残り42人】