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(―――来た!)

ドアが開くと同時に鉛玉が飛んでくる。

俺は慌てて柱から出ていた首を引っ込めた。

(いきなりか・・・。
 クソッ、先制攻撃を取られたか。
 うかつに顔が出せない・・・)

ドアが閉まる。相手が出ていった様子は、無い。

雑貨屋で拾った手鏡で相手の姿を見る。

(は・・・・?
 あれは・・・幸せ島のロボット―――?)

手鏡から見えたのは、PX-001、通称たかゆき(38番)。

(なんでロボットがいるんだ!
 弾なんか通じねえだろ・・・。
 マズイ・・・逃げるか?)

しかし、その台所には勝手口や人が通れるような窓はない。

(・・・・)

―――絶体絶命、であった。



(ククク・・・。早く顔を出してこい!
 そして絶望しろ!
 俺に弾丸や刃なんて通用しねえ!
 まさに無敵!
 優勝は確定している!)

手の中に収まっている銃の名はワルサー。

―――ちなみにたかゆきの手は銃を持つことは出来る。

反動も少なく、扱いやすい銃である。

(弾の装填は苦労したが、入れちまえばこっちが有利・・・。
 ・・・?
 何やってるんだ?
 早く撃ってこいよ?
 このままじゃ死ぬんだぞ?
 ・・・・・。
 あ、まさか逃げたのか?
 だからいつまで経っても撃ってこないのか・・・?
 うーん・・・。
 ・・・まあどっちにしても俺が死ぬことはないんだ。
 前進しても危険は無いだろう)

俺は前進を開始した。



(やべ、動き出してきた!
 マズイ・・・。
 どっか弱点とか無かったっけ?
 えーと、ヤツの構造、構造―――)

俺は島での労働を思い出していた。

―――俺の仕事は、頭部と足部の補強、それと組み立て。

関節部分は・・・ダメだ、そこは特に強化補強してある。

足部は・・・弱点らしいところはないし・・・。

頭部は論外だ・・・CPUとやらがあるらしいから別金属を使っていた・・・!

(弱点なんか・・・ねえッ!)

足音が近づいてきていた。残り3メートル、といったところか。

関節は、ダメ・・・!―――残り2メートル―――

そ、足部も・・・だ、ダメ・・・。―――残り1メートル―――

か、顔は・・・・・・・!顔・・・?

たかゆきが台所に入ってくる。

俺は死角から腹あたりに蹴りを入れる。

「うぉッ・・・」

たかゆきがバランスを崩す。その時、指が引き金にかかった。

――――パンッ

銃とは思えない、軽い音。

銃から出た鉛玉は俺の右足をかすめる。

(―――ッ)

右足に痺れるような感覚が走ったが、それに構ってる余裕はなかった。

俺は、とっさに思いついた弱点である「ソレ」に標準をあわせる。

引き金を、引く。手全体に強い反動。

続けて、ガラスが割れたような音がする。

「あ?め、目が見えない・・・・!」

俺は、続けてたかゆきの顔に、弾を撃った。

そして、すぐに床に伏せる。



―――爆発でも起こるかと思いきや、少し電磁波が迸った程度だった。

俺は、ゆっくりと顔を上げる。

目に映るのは、床に散るガラスの破片、そして顔の真ん中が無くなっているロボット。

(た、助かった・・・・か)

そして壊れてもまだ握っているワルサーを引き離した。

(ロボットのくせに、俺に襲ってきただと?
 ・・・・。
 コイツも、ゲームに乗っていたのか?
 何のためにだ?金が欲しかったのか?
 ・・・・。
 まあ、俺の知ったことじゃないがな)

そして、銃声によって人が寄って来ないうちにそこを後にした。



一体のロボットの、一つの夢。

それは、サイボーグになった自分の夢。

今となっては、小さな、儚い夢。

【38 PX-001 死亡】
【17 小杉 優作 右足に軽傷】
【残り41人】