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空が暗くなってきた。

視界も悪くなってきている。

俺達は、相変わらず海岸沿いに歩いていた。

―――あれからは、一度も銃声を聞いていない。

殺し合いが止まっているのか、別の武器で続いているのか?

俺には、分からなかった。

「そういえば、ネロの支給武器って何なんだ?」

突然頭に浮かんだ疑問を聞いてみた。

「あー? えーと、ねろのぶき、ふくろのなか。
 ねろ、ひと ころしたくない。
 だから、ふくろからだしてなかった。
 ・・・いま、だす。ちょっとまってろ」

そしてネロは肩に掛けていたディバックを下ろすと、中をあける。

「これ」

出てきたのは、2本のアイスピック。

ネロが使うには、あまりに小さい。

「どっちにしろネロじゃ使えないだろうな・・・・。
 ネロ、俺が持っていてもいいか?」

「ねろ、つかいかたわからない。
 だから、ぱわぷろにやる」

「おう。サンキュー・・・・ん?」

遠くに人影が見えた気がする。

俺はライフルを構え、スコープを覗く。

「・・・女の子が一人、かな。
 海の方を見てるみたいだ。こっちには気付いていない。
 武器は・・・・?バッグすら持ってないぞ?
 誰かに取られたのか?
 まぁ危険性は無いみたいだし・・・・。
 どうするネロ?声でもかけに行くか?」

「うー?
 そいつ、あぶなくない?」

「武器持ってないみたいだし、大丈夫だと思うけど・・・」

「じゃあいく。なかま、おおいほうがいい」

「ん。そうすっか」

俺達は小走りでその少女に近づく。

そして、肉眼でしっかり確認できるほどになったところで、声をかけた。

「おーい、そこの女の子ー!」

敵意なんて微塵もない、普通の声だった。



―――出発してから、まずは砂浜を目指してみた。

途中でゲームが始まっちゃったみたいだけど、気にしなかった。

綺麗な砂浜で待っていたのは、血の上に横たわっている赤坂だった。

私は、怖くなって走り出した。

あれは、嘘だ。嘘だウソだウソだうそだうそだうそだ!

ディバックも、砂浜に置いてきてしまった。

森の中で、しばらくの間泣いていた。

そして、今度は海を見に行った。

―――もちろん、さっきとは別の海岸。

そして、ようやく心が落ち着いてきたときだった。

「おーい、そこの女の子ー!」

突然、声が聞こえた。

声の方向を見ると、二人の男。

一人はとても大きい。もう一人は・・・・長い銃を持っている。

(こ、殺される―――?)

頭の中に、忘れようとしていた赤坂の死体がフラッシュバックする。

(いやだ、いやだ――――!)

私は、逃げようとした。

(死にたくない――――死にたくない―――)

焦っていた。

全速力で逃げようとしていた足は、うまく動かない。

(はやく―――逃げなきゃ―――)

そう思ったときだった。

右足が、左足に引っかかる。

(あ――――)

バランスを崩した体は、そのまま右に傾き、宙に浮いた。



「お、おい―――!」

止めようと走ったが、遅かった。

宙に浮いた少女の体は、そのまま切り立った崖の下に落下した。

続けて聞こえる、水がはじける音。

俺は、彼女が落ちた辺りで屈み、下を見る。

―――そこに見えたのは、静かな波紋。



「ぱわぷろ?」

ネロが話しかけてくる。

「なんで、あいつはおちた?」

「え・・・?」

「なんで、おちた?
 ねろ、ばかだからわからない。
 ぱわぷろなら、わかるか?」

「・・・・」

「なんで、ねろたちは、ころしあいをしなきゃいけない?」

「・・・・」

俺には、答えなんて分からなかった。

「ネロ、俺には―――」

―――顔を上げたときだった。

銃声が聞こえ、ネロの、優しく、哀しげだった顔が、消えた。

【22 高城 秋生 32 ネロ 死亡】
【37 パワプロ ネロの影にいるため山からは死角】
【残り39人】