30 空が暗くなってきた。 視界も悪くなってきている。 俺達は、相変わらず海岸沿いに歩いていた。 ―――あれからは、一度も銃声を聞いていない。 殺し合いが止まっているのか、別の武器で続いているのか? 俺には、分からなかった。 「そういえば、ネロの支給武器って何なんだ?」 突然頭に浮かんだ疑問を聞いてみた。 「あー? えーと、ねろのぶき、ふくろのなか。 ねろ、ひと ころしたくない。 だから、ふくろからだしてなかった。 ・・・いま、だす。ちょっとまってろ」 そしてネロは肩に掛けていたディバックを下ろすと、中をあける。 「これ」 出てきたのは、2本のアイスピック。 ネロが使うには、あまりに小さい。 「どっちにしろネロじゃ使えないだろうな・・・・。 ネロ、俺が持っていてもいいか?」 「ねろ、つかいかたわからない。 だから、ぱわぷろにやる」 「おう。サンキュー・・・・ん?」 遠くに人影が見えた気がする。 俺はライフルを構え、スコープを覗く。 「・・・女の子が一人、かな。 海の方を見てるみたいだ。こっちには気付いていない。 武器は・・・・?バッグすら持ってないぞ? 誰かに取られたのか? まぁ危険性は無いみたいだし・・・・。 どうするネロ?声でもかけに行くか?」 「うー? そいつ、あぶなくない?」 「武器持ってないみたいだし、大丈夫だと思うけど・・・」 「じゃあいく。なかま、おおいほうがいい」 「ん。そうすっか」 俺達は小走りでその少女に近づく。 そして、肉眼でしっかり確認できるほどになったところで、声をかけた。 「おーい、そこの女の子ー!」 敵意なんて微塵もない、普通の声だった。 ―――出発してから、まずは砂浜を目指してみた。 途中でゲームが始まっちゃったみたいだけど、気にしなかった。 綺麗な砂浜で待っていたのは、血の上に横たわっている赤坂だった。 私は、怖くなって走り出した。 あれは、嘘だ。嘘だウソだウソだうそだうそだうそだ! ディバックも、砂浜に置いてきてしまった。 森の中で、しばらくの間泣いていた。 そして、今度は海を見に行った。 ―――もちろん、さっきとは別の海岸。 そして、ようやく心が落ち着いてきたときだった。 「おーい、そこの女の子ー!」 突然、声が聞こえた。 声の方向を見ると、二人の男。 一人はとても大きい。もう一人は・・・・長い銃を持っている。 (こ、殺される―――?) 頭の中に、忘れようとしていた赤坂の死体がフラッシュバックする。 (いやだ、いやだ――――!) 私は、逃げようとした。 (死にたくない――――死にたくない―――) 焦っていた。 全速力で逃げようとしていた足は、うまく動かない。 (はやく―――逃げなきゃ―――) そう思ったときだった。 右足が、左足に引っかかる。 (あ――――) バランスを崩した体は、そのまま右に傾き、宙に浮いた。 「お、おい―――!」 止めようと走ったが、遅かった。 宙に浮いた少女の体は、そのまま切り立った崖の下に落下した。 続けて聞こえる、水がはじける音。 俺は、彼女が落ちた辺りで屈み、下を見る。 ―――そこに見えたのは、静かな波紋。 「ぱわぷろ?」 ネロが話しかけてくる。 「なんで、あいつはおちた?」 「え・・・?」 「なんで、おちた? ねろ、ばかだからわからない。 ぱわぷろなら、わかるか?」 「・・・・」 「なんで、ねろたちは、ころしあいをしなきゃいけない?」 「・・・・」 俺には、答えなんて分からなかった。 「ネロ、俺には―――」 ―――顔を上げたときだった。 銃声が聞こえ、ネロの、優しく、哀しげだった顔が、消えた。 【22 高城 秋生 32 ネロ 死亡】 【37 パワプロ ネロの影にいるため山からは死角】 【残り39人】