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時間はあっという間に経ち、午後7時となった。

ネロ達が死んでから一時間、この島で交戦はなかった。

嵐の前の静けさ―――そう言わんばかりに。



黒松 東児(16番)はこの島で初めて人と接触していた。

「こっちは交戦する気はない。もっとも、お前がその気なら話は別だがな」

そう言って対峙する人物を睨む。

「交戦しようにも、武器を持ってませんから無理ですね」

対峙する人物―――野球マスク(49番)がパソコンを見せながら答える。

「・・・・それがお前の支給武器なのか?」

黒松が気の抜けた声を出す。

「ええ。ツいてないですよ・・・」

頭を掻きながら野球マスクが答える。

「・・・・・。
 ならここでお別れだ。
 せいぜい死なないように努力するんだな」

野球マスクを通り抜けようとする。

「―――あ、ちょっと待って下さい!」

呼び止められ、立ち止まる黒松。

「・・・・何だ?」

「その武器って・・・確かロケット・ランチャーですよね。
 建物とかも壊せるっていう・・・」

「そうだが、なんだ?」

「―――大神を倒しに行くんですか?
 それとも、ゲームに乗った人を殺しに行くんですか?」

「!」

黒松の目が見開かれる。

「あ、図星でしたか。それで、どっちですか?」

「・・・・・何故分かった?」

「え?何がですか?」

黒松が強い視線で睨む。

「とぼけるなよ。
 どうして俺が大神を倒しに行くと分かったのか、と聞いている」

「あ、大神を倒す方でしたか。それはそうと・・・・
 理由なんて簡単ですよ。あなたはゲームに乗っていない。それだけです」

「何故俺がゲームに乗っていないと?」

「自分で言ってたじゃないですか。
 こっちは交戦する気はない、って。
 ゲームに乗ってる人なら、すぐ撃ったはずですから」

「む・・・・」

「アツくなってるんじゃないですか?
  いくらこのゲームを潰すといっても、頭が動かなきゃどうしようもないですよ」

「・・・・・。
 ・・・・そうだな。
 お前のお陰で落ち着いた。礼を言おう。
 じゃあ俺はこれでな」

再び野球マスクの脇を抜けようとする。

「あ―――ちょっと待って下さい」

黒松が呆れた顔で振り返る。

「まだ何かあるのか?」

「せっかくですから、僕達と手を組みません?
 少し離れたところに仲間がいるんですけど、
 みんな大神を倒すために集まったんですよ。
 どうですか?」

「・・・・・」

黒松は考えていた。

(仲間、か。
 下手に近づいて一網打尽にされるって可能性もあるな。
 だが・・・一人で突っ込むよりは勝算は高くなる。
 まあいざとなったらジローから貰ったアレもあるしな・・・。
 とりあえず会ってみるか)

「・・・・まずは会ってみる。
 案内してくれ」

「あ、じゃあ着いてきて下さい」



しばらくして二人は少し開けた場所に出た。

月の光が葉の間から射し込む、穏やかな場所だった。

そこいたのは、小さな声でお互い話し合っている6つの影。

黒松はそのうちの一人を見て声をかけた。

「ジロー?ジローか?」

その声を受けて、その影がこっちを見る。

「あ、アニキ!生きてましたか!」

「当たり前だ。俺は簡単には死なない」

「流石はアニキ!うわ、凄い武器持ってるじゃないですか!
 アニキもやりますね〜。ウソついて一人で旅に出るとは―――」

(・・・良かった。
 ジローが生きてるなら・・・まずは一安心だ・・・って・・・ん?)

「おい、ジロー」

「な、なんすかアニキ。改まっちゃって」

「もしかして―――お前も大神を倒す「仲間」なのか?」

「はい、そうですけど・・・・?」

「悪いことは言わん。お前はやめろ。
 お前はまだ若い。
 お前は生き残って―――」

「今は一人でも戦力が多い方がいいんですよ、アニキ。
 それに、俺だけ見てるだけってのも退屈ですよ?」

「む・・・まあお前がそこまで言うなら・・・」

「あの、そろそろよろしいですか?」

野球マスクが申し訳なさそうに口を挟む。

「ん?どうした?」

「そろそろ仲間の紹介をしたいのですが・・・・」

「あ、ああ。悪かったな。勝手に話し込んで・・・」

「いえいえ。
 ―――えーと、左から順番に立花さん、堤君、ドミオさん、平山君、バオ、奧野さん。
 ―――こちらが新しい仲間の黒松さん」

黒松が軽い会釈をする。

(・・・どうやら普通の反大神勢力らしいな。
 安心した・・・・)

「出発は明日の早朝。
 体力を蓄えてからです。
 ―――あ、それと黒松さん」

「む?何だ?」

「この中で、しっかりした武器を持っているのは
 平山さんの弓矢とドミオさんの手裏剣ぐらいですから。
 黒松さんは主力ですので、期待してますよ」

「・・・・何だと?」

【黒松 野球マスクらと合流】
【残り38人】