33 (二時間半・・・か) 隣の家から銃声が聞こえたのが二時間以上前のこと。 (恐らく今は誰もいないか・・・一人いるかのどっちか、か) そんなことを考えながら、俺は一つ大きなあくびをした。 (寝ずの番とは・・・・退屈なもんだな・・・) ―――カリッ・・・・ 何かがドアノブにあたる音がして、俺の意識は一気に集中した。 (来る・・・・) ドアが開く。 ドアの外に立っていたのは、銃を持った筋肉質の男。 「う、うわぁっ!」 俺の姿を見て驚いたらしい。その拍子に引き金を引いたようだ。 鉄筒から出てきた鉛玉は俺の右足にあたった。 「グッ・・・・」 右足に激痛が走る。 俺は傷の様子を見ようと、その傷を見た。 目に入ってきたのは、足から出る真っ赤な血だった。 (血・・・・血・・・・チィィィィィ・・・・・) 意識が、薄れていっていた。 ―――それはまだ幼かった頃の話。 近くの製作所で、よく隠れん坊をしていた。 その日も数人の友達と遊んでいた。 隠れるところはいつも通り、プレス機のそば。 プレス機のそばは見つかりにくく、それに――― 「お、タカオ。今日も隠れん坊か?」 仲の良い工員と、話ができたから。 まあ、作業中は話などできなかったが、その時は作業の光景を見ていた。 ―――そして、事件は起こった。 「あ?ああ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ・・・・・・」 俺は、ハッキリと見た。 工員の服が機械に飲まれ、体が巻き込まれて逝くところを。 「た・・たすっ・・・・だずげでぐれ゙え゙え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙・・・・・・」 血が飛び散る、その光景を。 血が出ている。俺の体から。 血。血。チ。アカイ。ナガレル。トビチル―――― 「うおぉおおおおぉぉぉぉおおおおぉっっっっっ!」 右手に持っている小さな武器を部屋の中に投げ込む。 左手に持っていたノコギリを持ち直し、ドアの方へと突進する。 「な・・・!ひ、ひいっ・・・・」 撃たれた部分が少し痛んだが、強引に動かす。 相手はドアを開け、外に飛び出す。 俺もそれに続き、ドアを跳ね飛ばしながら外に出る。 待ち構えていた相手が銃を撃ってくる。 身体の各部に熱い衝撃が走ったが、それも次第に無くなっていった。 (ナンダ・・・・? イママデニナイ・・・・カンジダ・・・・・。 ・・・・イタミスラ・・・・・キモチガイイ・・・・・) 俺は、ノコギリを振り下ろした。 一方、天本と唯はベットから起きていた。 小山の唸り声を聞き、飛び起きたのだった。 「天本さん、これって・・・・」 「神木さんの銃ですね。小山さんに預けていた・・・」 「なんで・・・? 小山君、なんで使わなかったの・・・?」 天本が様子を見ようと部屋を出ようとする。 「だ、ダメッ・・・・! 今は・・・一人にしないで・・・」 「・・・・分かりました」 唯は、ただ泣くことしかできなかった。 天本は、それを慰めることもできず、見ているだけだった。 家の外には、屍が二つあるだけ。 街は、再び静かになった。 【9 鬼鮫 清次 18 小山 高雄 死亡】 【残り36人】