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(二時間半・・・か)

隣の家から銃声が聞こえたのが二時間以上前のこと。

(恐らく今は誰もいないか・・・一人いるかのどっちか、か)

そんなことを考えながら、俺は一つ大きなあくびをした。

(寝ずの番とは・・・・退屈なもんだな・・・)



―――カリッ・・・・

何かがドアノブにあたる音がして、俺の意識は一気に集中した。

(来る・・・・)

ドアが開く。

ドアの外に立っていたのは、銃を持った筋肉質の男。

「う、うわぁっ!」

俺の姿を見て驚いたらしい。その拍子に引き金を引いたようだ。

鉄筒から出てきた鉛玉は俺の右足にあたった。

「グッ・・・・」

右足に激痛が走る。

俺は傷の様子を見ようと、その傷を見た。

目に入ってきたのは、足から出る真っ赤な血だった。

(血・・・・血・・・・チィィィィィ・・・・・)

意識が、薄れていっていた。



―――それはまだ幼かった頃の話。

近くの製作所で、よく隠れん坊をしていた。

その日も数人の友達と遊んでいた。

隠れるところはいつも通り、プレス機のそば。

プレス機のそばは見つかりにくく、それに―――

「お、タカオ。今日も隠れん坊か?」

仲の良い工員と、話ができたから。

まあ、作業中は話などできなかったが、その時は作業の光景を見ていた。

―――そして、事件は起こった。

「あ?ああ!うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ・・・・・・」

俺は、ハッキリと見た。

工員の服が機械に飲まれ、体が巻き込まれて逝くところを。

「た・・たすっ・・・・だずげでぐれ゙え゙え゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙ぇ゙・・・・・・」

血が飛び散る、その光景を。



血が出ている。俺の体から。

血。血。チ。アカイ。ナガレル。トビチル――――

「うおぉおおおおぉぉぉぉおおおおぉっっっっっ!」

右手に持っている小さな武器を部屋の中に投げ込む。

左手に持っていたノコギリを持ち直し、ドアの方へと突進する。

「な・・・!ひ、ひいっ・・・・」

撃たれた部分が少し痛んだが、強引に動かす。

相手はドアを開け、外に飛び出す。

俺もそれに続き、ドアを跳ね飛ばしながら外に出る。

待ち構えていた相手が銃を撃ってくる。

身体の各部に熱い衝撃が走ったが、それも次第に無くなっていった。

(ナンダ・・・・?
 イママデニナイ・・・・カンジダ・・・・・。
 ・・・・イタミスラ・・・・・キモチガイイ・・・・・)

俺は、ノコギリを振り下ろした。



一方、天本と唯はベットから起きていた。

小山の唸り声を聞き、飛び起きたのだった。

「天本さん、これって・・・・」

「神木さんの銃ですね。小山さんに預けていた・・・」

「なんで・・・?
 小山君、なんで使わなかったの・・・?」

天本が様子を見ようと部屋を出ようとする。

「だ、ダメッ・・・・!
 今は・・・一人にしないで・・・」

「・・・・分かりました」



唯は、ただ泣くことしかできなかった。

天本は、それを慰めることもできず、見ているだけだった。



家の外には、屍が二つあるだけ。

街は、再び静かになった。

【9 鬼鮫 清次 18 小山 高雄 死亡】
【残り36人】