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「なあ、亀田君・・・・」

パワプロがゆっくりと山小屋に近づく。

「・・・・どうして、なんだ・・・・?」

歩きながらの呟きは、誰にも聞こえなかった。



やがて、二人は割れた窓を挟んで向かい合った。

「う、動くなでやんす!」

亀田がボウガンを明日香の頭に近づける。

「亀田君・・・・」

「銃を置いて、手を上にあげるでやんす!
 そして、そのまま3歩下がるでやんす!」

「・・・・」

パワプロは言われたとおり銃を置き、両手をあげる。

地面には、リボルバーとライフルが置かれていた。

「3歩下がるでやんす」

ゆっくりと、パワプロが下がる。

亀田が、明日香からパワプロにボウガンを向ける。

「・・・・・」

「パワプロ君・・・・。
 無駄に弾を撃つと、いいことはないでやんすよ?」

「・・・・・」

「・・・大丈夫でやんす。
 オイラのことを見た人は、全員死んでもらうでやんす。
 だから―――明日香ちゃんとも、すぐ会えるでやんす」

「・・・・・・ッ・・・・。
 なあ、亀田君・・・・。
 明日香だけは―――明日香だけは、殺さないでくれないか?」

「・・・・」

「この殺し合いでは、二人まで生き残れるはずだ。
 だから―――俺は死んでもいい。
 でも・・・・明日香は、殺さないでくれないか?
 ―――君と、明日香で、生き残ってくれないか?」

(―――すまない、みんな・・・・)

パワプロの目から、涙が出る。

「・・・・・ダメ、でやんす」

だが、亀田は頭を横に振った。

「明日香ちゃんは、足手まといになるでやんす。
 ・・・・それどころか、下手すれば裏切る可能性だってあるでやんす。
 だから、二人とも―――ここで殺るでやんす。
 ――――ああ、形見は持って行くでやんす。
 ・・・・その銃と、レーダーを」

「・・・・・」

二人は、動かない。

朧月の柔い光だけが二人を照らす。

「・・・・・・なあ、どうして・・・・・」

「・・・何でやんす?もっとハッキリ言うでやんす」

「・・・どうして、なんだ?」

「・・・・・・」

「どうして、こんな事をするようになったんだ・・・・?」

「・・・・・・」

「なあ、どうして・・・!」

「・・・・んのせいでやんす」

「え・・・?」

「元を辿れば、パワプロ君のせいでやんす!」

「な・・・・」

「――――いつもそうでやんす。
 智美ちゃんがオイラと付き合っていたのは、智美ちゃんがパワプロ君が好きだったからでやんす。
 でも―――パワプロ君は気付かなかったでやんす。
 だから、智美ちゃんは・・・オイラと付き合う姿を見せることによって、パワプロ君の気をひこうとしたでやんす。
 オイラは―――使われただけでやんす・・・・。
 ―――あの時も、そうでやんす。
 オイラは、純粋に世界征服を目指していたでやんす。
 そのために、パワプロ君を復活させたでやんす。
 でも―――最後にパワプロ君は裏切ったでやんす。
 オイラが積んだ努力や苦労は、すべてクズになったでやんす。
 そして、それが終わったパワプロ君は何事もなかったように人間になったでやんす。
 ―――パワプロ君は、願いが叶ったでやんす。
 でも、オイラは・・・今回も利用されただけでやんす。
 ・・・・・・。
 いつも、いつもそうでやんす。
 毎回、オイラは利用されて終わるでやんす。
 ―――――イヤでやんす。
 ―――――――オイラは、これ以上利用されたくないでやんす!
 毎回毎回、やってられないでやんす!
 だから、今回は―――決心したでやんす。
 オイラは、このゲームで勝つでやんす。
 ――――このゲームの参加者、全てを利用するでやんす!
 そのためにも、死ぬわけにはいかないでやんす!
 ―――もう、利用されたくはないでやんす!」

矢が飛ぶ。

それはパワプロの腹に当たり、血が飛ぶ。

「・・・・上手く避けたでやんすね。
 ――――でも、次で仕留めるでやんす」

「―――明日香、離れろッ!」

パワプロが飛ぶ。

ガラスが割れ、亀田とパワプロに破片が食い込む。

「痛ッ―――――な、何をするでやんす!」

(亀田君――――)

「・・・・君が・・・苦しんだのは・・・・よく分かった・・・」

(『オイラ、亀田でやんす。今日から、友達でやんすね』)

「でも・・・・何の罪もない・・・・明日香は・・・・」

(『やったでやんす!優勝でやんす!』)

「・・・・死ぬ必要は・・・無いと思うんだ・・・・」

(『フン、親友のオイラに感謝するでやんす』)

「・・・・でも・・・君は・・・これじゃ・・・・聞かないだろうから・・・」

(『オイラは、もう利用されたくないでやんす!』)

「・・・・地獄で・・・・ゆっくり・・・・語り合おうぜ・・・・」

矢が、パワプロの胸に刺さる。

それでも、パワプロは止まらない。

(・・・・・ネロ・・・・・)

パワプロが、懐のアイスピックを取り出す。

その手に、矢が刺さる。

アイスピックを―――振る。

それは、亀田の心臓を、捕らえた。




暗い室内を照らす光。

朧月の柔い光と、レーダーに光る二つの点。

【13 亀田光夫 死亡】
【37 パワプロ 瀕死】
【20 進藤 明日香 ガラスの破片による微量の出血】
【残り32人】