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「――――ろ松さん、黒松さん、そろそろ出発ですよ」

「む・・・・」

目が覚める。いつの間にか寝ていたらしい。

「あ、起きましたね。
 そろそろ4時になります。
 ・・・・暗いうちに、特攻しましょう・・・」

そういって、野球マスクが離れる。

(・・・・鋼はもう起きてる・・・か。
 あと起きてるのは・・・バオとマスクだけ、か)

「おーい、ボボさーん、起きてくださーい。
 ボボさーん・・・・」

その時、何故か木の上で寝ていたドミオが寝返りをうち、木から落ちた。

自由落下したドミオは綺麗にボボの上に落ち、奇妙な音と共に地面に転がった。

「わ、ボボさん、ドミオさん、大丈夫ですか?」

その言葉につられるようにドミオが起き上がる。

「・・・・ムー・・・。
 ワタシは、全然、大丈夫デース・・・」

(頭がフラフラ揺れてるぞ)

「ぼ、ボボさんは・・・・」

「・・・俺はヤワには出来てないでバッタ〜・・・」

のっそりと起き上がってくる。

(うぇ・・・・・)

首から、黒い体液が出ていた。



「――――ここだ」

鋼が振り向く。

そこは確かに大きな洞窟で、軽トラなら軽く出入りできそうだった。

「・・・・しかし、どこにも怪しい所なんて無いぞ?
 なぜここにアジトがあると思ったんだ?」

(最悪の場合、コイツがスパイという可能性もある・・・。
 この中に入れて、危険分子を皆殺しにする・・・。
 注意は怠らないようにしなくては・・・)

「・・・・ここだ」

そう言って、鋼が壁の一点を指す。

「周りの岩石とくらべて、ここに段差がある。
 削った跡だ。
 おそらく、これが隠し扉・・・ということになる」

見ると、確かに周りと表面がずれている。

「・・・・で?
 どうする?今すぐ特攻するか?」

野球マスクを見る。

「―――ええ、今すぐです。
 これ以上犠牲者を出さないためにも、早く」

「・・・・分かった。
 みんな、外に出るぞ。
 もしかしたら、洞窟が崩れる可能性もある」

みんなが外に出る。

俺は肩のロケット・ランチャーを下ろし、構える。

(弾は3発。
 実質・・・・俺は戦いに参加できない。
 ・・・・・・・)

周りの連中を、グルッと見渡す。

―――スタンガンを片手に持ち、屈伸運動をしているバオ。

―――粉の入った瓶を持ち、首の位置を修正しているボボ。

―――弓を持ち、恐怖か、緊張かで震えている平山。

―――スパナを片手に持ち、洞窟の天井を眺めている堤。

―――手裏剣を装備し、投げるポーズを考えているドミオ。

―――スタングレネードを両手に持ち、じっと俺を見ているジロー。

―――パソコンをその場に置き、何かメッセージを書いている野球マスク。

―――ショットガンを構え、鋭い目つきでドアの先を睨む鋼。

(・・・・・・・)

「――――離れろッ!」

引き金を、ひいた。





――――時を同じくして、こちらは島の外周。

この島は一カ所を除き切り立った崖に囲まれており、落ちたら海に真っ逆さまとなっている。

その一カ所は砂浜となっているだけで、それ以外は何もない。

通常、大神のアジトに潜入する方法は洞窟からの特攻しかない。

―――特異的な身体能力がない場合は、の話だが。

島の北側、崖の下―――そこには船着き場があり、アジトと直結している。

その船着き場に、一つの影があった。

(・・・・そろそろ、か)

次の瞬間、辺りに轟音が響く。

船着き場の見張りも、アジト本館に引き上げる。

(・・・・賽は投げられた、か)

手に持つのは、4つのプラスチック爆弾。

野球マスクらが突撃すると同時に、アジトに一人潜入する影。

――――迅雷 隼人。裏での、孤独な戦いが、始まった。





12月 30日 午前4時 48分。

―――殺し合いからの解放戦線が、今始まった。

【残り32人】