45 「・・・・そっちはどうだ!」 「・・・・いや、こっちにはいない!あっちを探せ!」 (・・・・やり過ごせた、か) 私は船の陰に隠れながら、周りの声を聞く。 目で見なくても、音で敵の場所は分かる。 (しかし、何故突然敵が・・・? 監視カメラはちゃんと避けたし、 敵に見つかるようなヘマもしなかったはず・・・。 ・・・・・・・) 人の足音が遠ざかっていく。 続いて、一つの足音が聞こえてくる。 (・・・衛兵か? 一人なら、チャンスだ・・・・) こっそりと衛兵の様子を見る。 (一人。 ・・・・武器は銃か。型なぞ分からんが・・・。 ・・・・やるか) 船の影から出て、音もなく衛兵に忍び寄る。 プラスチック爆弾を二個取り出し、両手に一個ずつ持つ。 一個を衛兵の背中に張り付け、一個を目の前に突き出す。 「動くな」 「―――!」 「・・・・背に爆弾を仕掛けた。 怪しい動きをすれば、お前は肉片と化す。 ・・・・・・いいな?」 衛兵が頷く。 「・・・・質問に答えろ。 ・・・・・これの首謀者はだれだ?」 「・・・お、大神・・・・美智男・・・・」 これは知っている。 「・・・・これの目的はなんだ?」 「・・・・し、知らない・・・」 衛兵が唸るように言う。 「・・・・この島は何処だ?」 「・・・・・大神会長が・・・・買った島だ・・・」 「・・・・・元の名前を聞いている」 「・・・・そこまでは、分からない・・・・」 あまり多くの情報は知らないようだ。 「・・・・・何故、私がここにいるのが分かった?」 「・・・・・大神会長が・・・・「船着き場に侵入者がいる」と・・・」 (大神が?何故あいつに分かったのだ・・・?) 「・・・・大神の居場所は?」 「・・・・・・奧の階段を上って、つきあたりを右・・・・。 そこの階段を下りて、左に曲がる・・・・。 その先の部屋にいる・・・」 「・・・・そうか」 聞けることは聞いた。 私は左手を振り上げ、衛兵の首に下ろす。 「――――ウッ・・・・」 衛兵が崩れ落ちる。 背中から爆弾を外し、ディバックに入れる。 ―――私は、その場をあとにした。 (・・・・悪く思うなよ) ―――私のいなくなった船着き場に、人はいなかった。 ―――海面に、波紋が広がっていた。 「・・・・正直に話せ」 「ほ、ホントなんだっ!俺は何も知らないッ!」 俺達は、荷物置き場の一角にいた。 周りが荷物で囲まれている場所に敵兵の一人を連れ込み、尋問をしていた。 ―――鋼がハンドガンとショットガンを持ち替える。 ショットガンを男の目の前に突き出す。 「・・・・もう一度、言う。・・・・これの目的は?」 「ホントに何も知らないんだっ!勘弁してくれ!」 「・・・・・・」 鋼は銃を下ろさない。 それどころか、額にピッタリと銃口をくっつけた。 「・・・・・・」 睨みを利かせている。眼光が鋭い。 「う、うわぁぁぁぁああああああああああああっ!!」 男が叫ぶ。 「チッ・・・!」 鋼がハンドガンを取り出し、男に向けて撃つ。 男は血を噴きながら倒れ、動かなくなる。 「逃げるぞ!」 鋼が駆け出す。 その後に、俺達が続く。 「・・・・うわあっ!」 声につられ、後ろを見る。 堤が機材に足を引っかけ、よろめいていた。 「・・・堤ィッ!」 俺が手を伸ばす。 手が届く。 俺は、堤を引っ張った。 (・・・軽い・・・?) 引っ張った堤を、見る。 「・・・・・ウッ・・・・・」 ―――俺が手に取ったのは、堤の手だった。 手であり、それ以外の何でも無かった。 「つ、堤ッ!」 ―――堤の本体は、銃弾を受けクルクルと回転していた。 「アニキ、早くッ!」 銃弾が俺にも襲ってくる。 俺は腹の痛みを感じながら、ひたすら鋼の後を追った。 ―――やがて鋼が止まり、こっちを振り返る。 「何やってる、鋼! 立ち止まったら追いつかれるぞ!」 しかし鋼は、銃を構えるだけで動こうとしない。 「鋼ッ!」 「・・・・この場所は迎撃戦に向いている。 ・・・・・俺が残って、奴らをくい止める。 お前らはさっき聞いた場所に行き、アイツを―――倒せ」 鋼がショットガンを撃つ。 少し離れたところで爆発音があがり、悲鳴が響く。 「・・・食い止められるわけ・・・」 「・・・誰かがやらなければいけないんだ。 ・・・・今まで犠牲になった奴らは、俺の作戦で死んだ。 ・・・・・・今度は、俺が命を懸けて戦う番だ・・・!」 そう言うと鋼はもう一発ショットガンを撃った。 「・・・・さあ、行け!」 「・・・・・ぐ・・・・・」 俺はランチャーを構える。 引き金を、引く。 人の山が崩れ、煙があがる。 「・・・・・・死ぬなよ!」 俺は、既に野球マスクが向かった階段へ走り出した。 階段を下りるとき、一発の銃声が、何故か大きく聞こえた。 【27 堤 篤弘 死亡】 【6 奥野 16 黒松 49 野球マスク 大神の部屋直前】 【残り26人】