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「・・・・そっちはどうだ!」

「・・・・いや、こっちにはいない!あっちを探せ!」

(・・・・やり過ごせた、か)

私は船の陰に隠れながら、周りの声を聞く。

目で見なくても、音で敵の場所は分かる。

(しかし、何故突然敵が・・・?
 監視カメラはちゃんと避けたし、
 敵に見つかるようなヘマもしなかったはず・・・。
 ・・・・・・・)

人の足音が遠ざかっていく。

続いて、一つの足音が聞こえてくる。

(・・・衛兵か?
 一人なら、チャンスだ・・・・)

こっそりと衛兵の様子を見る。

(一人。
 ・・・・武器は銃か。型なぞ分からんが・・・。
 ・・・・やるか)

船の影から出て、音もなく衛兵に忍び寄る。

プラスチック爆弾を二個取り出し、両手に一個ずつ持つ。

一個を衛兵の背中に張り付け、一個を目の前に突き出す。

「動くな」

「―――!」

「・・・・背に爆弾を仕掛けた。
 怪しい動きをすれば、お前は肉片と化す。
 ・・・・・・いいな?」

衛兵が頷く。

「・・・・質問に答えろ。
 ・・・・・これの首謀者はだれだ?」

「・・・お、大神・・・・美智男・・・・」

これは知っている。

「・・・・これの目的はなんだ?」

「・・・・し、知らない・・・」

衛兵が唸るように言う。

「・・・・この島は何処だ?」

「・・・・・大神会長が・・・・買った島だ・・・」

「・・・・・元の名前を聞いている」

「・・・・そこまでは、分からない・・・・」

あまり多くの情報は知らないようだ。

「・・・・・何故、私がここにいるのが分かった?」

「・・・・・大神会長が・・・・「船着き場に侵入者がいる」と・・・」

(大神が?何故あいつに分かったのだ・・・?)

「・・・・大神の居場所は?」

「・・・・・・奧の階段を上って、つきあたりを右・・・・。
 そこの階段を下りて、左に曲がる・・・・。
 その先の部屋にいる・・・」

「・・・・そうか」

聞けることは聞いた。

私は左手を振り上げ、衛兵の首に下ろす。

「――――ウッ・・・・」

衛兵が崩れ落ちる。

背中から爆弾を外し、ディバックに入れる。

―――私は、その場をあとにした。

(・・・・悪く思うなよ)

―――私のいなくなった船着き場に、人はいなかった。

―――海面に、波紋が広がっていた。






「・・・・正直に話せ」

「ほ、ホントなんだっ!俺は何も知らないッ!」

俺達は、荷物置き場の一角にいた。

周りが荷物で囲まれている場所に敵兵の一人を連れ込み、尋問をしていた。

―――鋼がハンドガンとショットガンを持ち替える。

ショットガンを男の目の前に突き出す。

「・・・・もう一度、言う。・・・・これの目的は?」

「ホントに何も知らないんだっ!勘弁してくれ!」

「・・・・・・」

鋼は銃を下ろさない。

それどころか、額にピッタリと銃口をくっつけた。

「・・・・・・」

睨みを利かせている。眼光が鋭い。

「う、うわぁぁぁぁああああああああああああっ!!」

男が叫ぶ。

「チッ・・・!」

鋼がハンドガンを取り出し、男に向けて撃つ。

男は血を噴きながら倒れ、動かなくなる。

「逃げるぞ!」

鋼が駆け出す。

その後に、俺達が続く。

「・・・・うわあっ!」

声につられ、後ろを見る。

堤が機材に足を引っかけ、よろめいていた。

「・・・堤ィッ!」

俺が手を伸ばす。

手が届く。

俺は、堤を引っ張った。

(・・・軽い・・・?)

引っ張った堤を、見る。

「・・・・・ウッ・・・・・」

―――俺が手に取ったのは、堤の手だった。

手であり、それ以外の何でも無かった。

「つ、堤ッ!」

―――堤の本体は、銃弾を受けクルクルと回転していた。

「アニキ、早くッ!」

銃弾が俺にも襲ってくる。

俺は腹の痛みを感じながら、ひたすら鋼の後を追った。



―――やがて鋼が止まり、こっちを振り返る。

「何やってる、鋼!
 立ち止まったら追いつかれるぞ!」

しかし鋼は、銃を構えるだけで動こうとしない。

「鋼ッ!」

「・・・・この場所は迎撃戦に向いている。
 ・・・・・俺が残って、奴らをくい止める。
 お前らはさっき聞いた場所に行き、アイツを―――倒せ」

鋼がショットガンを撃つ。

少し離れたところで爆発音があがり、悲鳴が響く。

「・・・食い止められるわけ・・・」

「・・・誰かがやらなければいけないんだ。
 ・・・・今まで犠牲になった奴らは、俺の作戦で死んだ。
 ・・・・・・今度は、俺が命を懸けて戦う番だ・・・!」

そう言うと鋼はもう一発ショットガンを撃った。

「・・・・さあ、行け!」

「・・・・・ぐ・・・・・」

俺はランチャーを構える。

引き金を、引く。

人の山が崩れ、煙があがる。

「・・・・・・死ぬなよ!」

俺は、既に野球マスクが向かった階段へ走り出した。



階段を下りるとき、一発の銃声が、何故か大きく聞こえた。

【27 堤 篤弘 死亡】
【6 奥野 16 黒松 49 野球マスク 大神の部屋直前】
【残り26人】