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銃声が、もう一度鳴り響く。

俺はとっさに体勢を変えるが、弾は左腕に当たる。

「・・・グッ」

その直後、俺の後ろで一発の銃声が鳴る。

黒服が胸に穴を開けて倒れ、痙攣しながら倒れる。

見ると、ハンドガンを構える野球マスクの姿があった。

「悪いな、助かった」

「・・・気を抜いちゃダメですよ、黒松さん」

こんな状況だというのに、動じている様子がない。

―――しかしそれは、大神も同じことであった。

「・・・・ククク・・・」

それどころか、静かに笑い声も聞こえる。

「・・・クズどもにしては、上出来ではないか・・・」

「・・・」

俺は、ゆっくりと無傷の右手を突き出す。

その手には、ジローの銃が握られていた。

(・・・・残弾数は一。外すことなど、出来ない・・・)

手が自然と汗ばむ。

「・・・・それで、私を撃つ気なのか・・・?」

「・・・・・」

俺は、引き金を引いた―――

―――一発の銃声。

しかしそれは自分の銃から発せられたものでは無かった。

手の中にあったはずの銃は消え、床に落ちていた。

「・・・・ッ」

「・・・・ククククク・・・・」

だがそこで、もう一発の銃声が鳴った。

大神の持っていた銃が飛び、俺のと同じように床に落ちる。

「・・・・・ほぉ」

「・・・・・・・・」

部屋の中では、野球マスクだけが銃を構えていた。

だが、野球マスクもその銃を捨てる。

俺の側に寄ってきて、弾切れです、と耳打ちする。

「・・・・・ハハハハハハ!」

突然、大神が大声を立てて笑う。

そして、俺の方に顔を向けた。

「・・・参加者の一人・・・・クズ、奴隷・・・・。
 それにも関わらず、ここまで抗うとは・・・」

俺は、ただ大神を見ることしかできない。

本当なら、銃を取るなり、ランチャーを構えるなりすべきなのだろうが、体が動かない。

「・・・・いいだろう。
 ・・・・・特別に、私と会話することを許そう」

「・・・・黒松さん」

野球マスクが身を乗り出してくるが、それを制する。

「・・・・なぜ、こんな事をした?」

「退屈だったから、だ」

何の迷いもなさそうに、大神が言う。

「球団のオーナー?コンツェルンの会長?
 ――――くだらない。
 私は、そんなものに飽きた。・・・・それだけだ」

「・・・・本当に、それだけなのか?」

「それだけだ」

「・・・・では、次の質問だ。
 これに参加させられている人を、どうやって選んだ?」

「コンピュータで全人口をふるいにかけただけだ。
 ・・・選ばれた人、などという大層なものではない」

「・・・・・・」

後ろに倒れているジローを見る。

(だとすれば、俺達は相当不幸な人物だな・・・)

「・・・・最後に聞く。
 ・・・俺達を―――人を―――何だと思っている?」

俺は、ゆっくりと言った。

「―――人とはな、使う者、使われる者、ただのクズ・・・。
 この三つにしかわかれん。
 ・・・一般に、人はただのクズだ。
 そして、極稀に・・・私のような、使う者が現れる。
 使われる者というのは、自分を使う者だと思いこむ愚か者のことだ。
 ―――お前らも、所詮はただのクズ。
 利用されるだけ利用され、自分らは何一つ得ない。
 ・・・だからこそ、私は今回利用した。
 使われることでしか存在価値がないお前らを、ゲームの参加者にしてやった。
 私は、お前らに存在価値をやった。
 ―――私には、お前らに憎まれる理由など無いのだよ?
 それどころか、私は報酬も用意した。
 ・・・だが、クズどもにはそれも理解できないらしい。
 このゲームに同意している者は、ことごとく阻止されてきている・・・。
 ・・・そして、最も愚かなクズは私に切っ先を向けてきた。
 ・・・・・・だからこそ、そのように死ぬのだ。その、ジロー君のように・・・。
 ・・・・クククク、ハハハハハハ・・・・」

「・・・・・テメエッ!」

俺はランチャーを構える。

左腕が痛む。

肩に無理矢理のせ、射撃態勢をとる。

「・・・たとえ、俺達が利用されるクズだったとしても・・・・」

目から、涙が出る。

「・・・・・・それでも、俺達にも未来はあるんだッ!」

涙が、目に溢れ、視界が悪くなる。

「・・・・・フン、クズめがッ!」

大神がイスから立ち上がり、機械の方へ寄る。

「少し早いが、お前らを最後に利用させてもらうぞッ!」

「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっ!!」



俺の、大神の人差し指が――――



引き金に、一つのボタンに――――



―――今、動いた。



PAWAPOKE ROYALU  前編 終

【イワノフ 死亡】
【残り25名】