47 銃声が、もう一度鳴り響く。 俺はとっさに体勢を変えるが、弾は左腕に当たる。 「・・・グッ」 その直後、俺の後ろで一発の銃声が鳴る。 黒服が胸に穴を開けて倒れ、痙攣しながら倒れる。 見ると、ハンドガンを構える野球マスクの姿があった。 「悪いな、助かった」 「・・・気を抜いちゃダメですよ、黒松さん」 こんな状況だというのに、動じている様子がない。 ―――しかしそれは、大神も同じことであった。 「・・・・ククク・・・」 それどころか、静かに笑い声も聞こえる。 「・・・クズどもにしては、上出来ではないか・・・」 「・・・」 俺は、ゆっくりと無傷の右手を突き出す。 その手には、ジローの銃が握られていた。 (・・・・残弾数は一。外すことなど、出来ない・・・) 手が自然と汗ばむ。 「・・・・それで、私を撃つ気なのか・・・?」 「・・・・・」 俺は、引き金を引いた――― ―――一発の銃声。 しかしそれは自分の銃から発せられたものでは無かった。 手の中にあったはずの銃は消え、床に落ちていた。 「・・・・ッ」 「・・・・ククククク・・・・」 だがそこで、もう一発の銃声が鳴った。 大神の持っていた銃が飛び、俺のと同じように床に落ちる。 「・・・・・ほぉ」 「・・・・・・・・」 部屋の中では、野球マスクだけが銃を構えていた。 だが、野球マスクもその銃を捨てる。 俺の側に寄ってきて、弾切れです、と耳打ちする。 「・・・・・ハハハハハハ!」 突然、大神が大声を立てて笑う。 そして、俺の方に顔を向けた。 「・・・参加者の一人・・・・クズ、奴隷・・・・。 それにも関わらず、ここまで抗うとは・・・」 俺は、ただ大神を見ることしかできない。 本当なら、銃を取るなり、ランチャーを構えるなりすべきなのだろうが、体が動かない。 「・・・・いいだろう。 ・・・・・特別に、私と会話することを許そう」 「・・・・黒松さん」 野球マスクが身を乗り出してくるが、それを制する。 「・・・・なぜ、こんな事をした?」 「退屈だったから、だ」 何の迷いもなさそうに、大神が言う。 「球団のオーナー?コンツェルンの会長? ――――くだらない。 私は、そんなものに飽きた。・・・・それだけだ」 「・・・・本当に、それだけなのか?」 「それだけだ」 「・・・・では、次の質問だ。 これに参加させられている人を、どうやって選んだ?」 「コンピュータで全人口をふるいにかけただけだ。 ・・・選ばれた人、などという大層なものではない」 「・・・・・・」 後ろに倒れているジローを見る。 (だとすれば、俺達は相当不幸な人物だな・・・) 「・・・・最後に聞く。 ・・・俺達を―――人を―――何だと思っている?」 俺は、ゆっくりと言った。 「―――人とはな、使う者、使われる者、ただのクズ・・・。 この三つにしかわかれん。 ・・・一般に、人はただのクズだ。 そして、極稀に・・・私のような、使う者が現れる。 使われる者というのは、自分を使う者だと思いこむ愚か者のことだ。 ―――お前らも、所詮はただのクズ。 利用されるだけ利用され、自分らは何一つ得ない。 ・・・だからこそ、私は今回利用した。 使われることでしか存在価値がないお前らを、ゲームの参加者にしてやった。 私は、お前らに存在価値をやった。 ―――私には、お前らに憎まれる理由など無いのだよ? それどころか、私は報酬も用意した。 ・・・だが、クズどもにはそれも理解できないらしい。 このゲームに同意している者は、ことごとく阻止されてきている・・・。 ・・・そして、最も愚かなクズは私に切っ先を向けてきた。 ・・・・・・だからこそ、そのように死ぬのだ。その、ジロー君のように・・・。 ・・・・クククク、ハハハハハハ・・・・」 「・・・・・テメエッ!」 俺はランチャーを構える。 左腕が痛む。 肩に無理矢理のせ、射撃態勢をとる。 「・・・たとえ、俺達が利用されるクズだったとしても・・・・」 目から、涙が出る。 「・・・・・・それでも、俺達にも未来はあるんだッ!」 涙が、目に溢れ、視界が悪くなる。 「・・・・・フン、クズめがッ!」 大神がイスから立ち上がり、機械の方へ寄る。 「少し早いが、お前らを最後に利用させてもらうぞッ!」 「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっっっっ!!」 俺の、大神の人差し指が―――― 引き金に、一つのボタンに―――― ―――今、動いた。 PAWAPOKE ROYALU 前編 終 【イワノフ 死亡】 【残り25名】