48 ―――一瞬が、とても長く感じた。 俺の人差し指は引き金を引く。 大神の人差し指は、ボタンに触れる。 ランチャーから弾が出る。 大神がボタンを押す。 血が飛ぶ。 大神の破片が飛んでくる。 ――――俺は、勝った。 次の瞬間、部屋のあちこちから何かの粉が出てくる。 (・・・!・・・毒粉か?) 「野球マスク、口を塞げ!」 鼻もつまもうと思ったが、体のバランスがとれなくなるため口だけにした。 粉が部屋中に行き渡る。 それは、例外なく俺の鼻にも届く。 (・・・・・・・・・? 何だ、この匂いは・・・? ・・・・これは・・・花粉?) 俺は、口を塞いでいた手をどける。 「う・・・」 無理に動かしたためか、体の節々が痛む。 俺は、大神のいた場所を見る。 ―――そこには、何もない。 ただ、あたりに血とよく分からないものが落ちているだけ。 「・・・勝った・・・・」 口から、言葉が漏れる。 「・・・ジロー、俺は――――」 言いかけた時だった。 ―――突然、胸に―――心臓に、激痛が走る。 背中が熱い。 体の力が抜けていき、ランチャーが音を立てて倒れる。 (・・・刺された・・・・?) 俺は、後ろを見る。 ―――そこにいたのは、黒服でも、大神でもない人物。 「・・・や、野球・・・・マスク・・・・?」 ―――後ろにいたのは、敵から奪ったナイフを俺に刺している野球マスクだった。 「・・・・な、なぜ・・・・・?」 野球マスクが、ナイフを抜く。 支えを無くした俺は、人形のように膝を折り、倒れる。 (・・・・裏切り・・・・?今頃、か・・・・?) 俺の横には、目を閉じているジローがいた。 「・・・じ、ジロー・・・・」 視界の隅で、野球マスクがナイフを振りかぶっているのが見えた。 「・・・今、俺も・・・そっちに・・・・」 ―――ナイフが、降りた。 PAWAPOKE ROYALE 後編 部屋に降り立つ。 (・・・今のは、一体・・・・!?) 私は、混乱する頭を整理することにした。 (私が部屋の上のダクトに着いたとき、大神と反乱者が言い争っていた。 私が爆弾をセットしている最中、大神が死んだ。 それで、部屋に降りようとしたら粉が出てきたので、私は避難していた。 ・・・・その直後、後ろの男が、前の男を刺した。 そして、その男はナイフだけを持ってこの部屋から去った。 ・・・・これで、あっているはず。 ・・・・。 ・・・疑問点は二つ。 一つ。 後ろの男も反乱者の一人なんだから、前の男を刺す理由は? 二つ。 大神が押したボタンは、粉を出すためのもの。それの真意は? ・・・・。 とりあえず、二つ目の疑問の答えだけでも・・・) 私は、大神のデスクの引き出しを開ける。 (・・・これが参加者リスト。しっかり写真付き、と。 ・・・・・・これは・・・論文、かな?英語だから分からないな・・・。 ・・・・!・・・「企画書」・・・) 企画書を取り出し、紙をめくる。 「――――!」 私は、目を丸くした。 (――――急がなければ――――) 私は、もと来たダクトの中を走っていた。 幸い、ダクトは人一人が楽に通れるほど広い。 (――――このままでは―――――) 自分が爆弾しか持っていないのが、無性にもどかしかった。 (――――島の人は、全滅する――――) スピードを上げる。 (―――真実を――――伝えられるのは――――) 暗かったダクトが、出口に近づき、明るくなる。 (――――私にしか、出来ない――――) ダクトから、飛び出した。 ―――始まりは、博士との出会い。 退屈な日々を送っていた私の元に現れた、一人の博士。 彼の名前は、ジーラー・ジェンキンス。 A級シークレットである、「幸せ島」で遺伝子の研究をしていたという。 私の元に現れた彼は、突然こう言った。 『何よりも強く、何よりも偉大な遺伝子研究にお力を貸して頂けませんか』と。 『何よりも偉大』という言葉に惹かれた私は、詳しく話を聞くことにした。 ―――彼の研究結果によると、人間の遺伝子を組み替えることによって、本来の何倍もの力を引き出せるらしい。 ただ、それにかかる費用は並ならぬものであり、自分一人では出来ない、とのことだった。 私にメリットもなく、無駄に費用がかかるだけの、無意味な研究。 だが、私はこれを援助することにした。 ―――その時は、単なる退屈しのぎとしか、思っていなかった。 【16 黒松 東児 大神 美智男 死亡】 【21 迅雷 隼人 アジト脱出 企画書を読む】 【残り24人】