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(・・・・・・このままじゃ、キリがない・・・)

俺も、薄々感じてきていた。

黒松達と別れてから、俺はスタンにより戦地を移動し、敵を引きつけていた。

スタンを使ったときに銃を奪ったため、武器に困ることはないと思っていた。

(・・・だが・・・この有様、か)

俺はバッグの中を見る。

中にあるのは、ショットガンとハンドガン、マシンガンに弓矢。

そのうちショットガンとハンドガンは弾切れ、マシンガンも残りの弾倉は5つ。

(・・・敵はいくらでも沸いてくる・・・。
 ・・・・俺も・・・そろそろ、潮時か・・・・)

バッグにマシンガン以外の物を詰める。

弾倉を左手に全て掴み、右手でマシンガンを持つ。

(・・・思えば・・・いろいろあったものだ・・・)

俺の心は、そこが戦場とは思えないほど静かだった。

それにつられてか、部屋の外の音もシャットアウトされてくる。

(・・・大神に直接トドメを刺せないのは残念だが―――
 ―――ヤツらなら、やってくれる。
 俺が大神と語らうのは、あの世に行ってからでも・・・遅くはない)

一回、深く息を吸う。

そして、静かに、息を吐く。

(・・・・行くか・・・!)

部屋から、飛び出す。

マシンガンを構える。

標準を合わせ、引き金を引く―――――。

――――はずだった。

俺は、自分の目を疑った。

(敵が・・・反対方向を向いている・・・?)

それどころか、後ろにいる何かと交戦しているように見える。

(・・・黒松が・・・帰ってきたのか・・・・?)

だが、それはなかった。

戦っている敵兵達は、後ろから来る何かに押されていた。

一人、また一人と、敵の黒服が倒れていく。

そして、それを見て戦意を無くした黒服達が、銃を捨て逃げていく。

本来の敵である俺の姿を見ても、逃げることを止めない。

(・・・何が・・・何が起こっている・・・・?)

やがて、黒服が指折りで数えられるほどの数にまで減る。

それにより、後ろにいる「何か」の姿が見えてくる。

(・・・・4体・・・か?
 ・・・・何も持っていないように見えるが・・・。
 奴らを倒しているということは、俺達の味方なのか・・・?)

「ひ、ひいっ・・・!」

黒服の一人が銃を落とす。

「何か」が、座り込んだ黒服に近寄る。

黒服は逃げようと地面を這うが、全然前に進んでいない。

「何か」が、手を振り上げる。

(・・・何も持っていない・・・?)

「お、お助けっ・・・!」

手刀が、振り下ろされる。

黒服は、その手刀をガードするように構える。

手刀が、ガードしている手にあたる。

―――次の瞬間だった。

黒服の、手刀の当たったところから先の部分が消える。

(な・・・・!)

「あ・・・あぁぁぁぁぁぁああああああ!!」

黒服が叫ぶ。

「何か」はそれに構わず、もう一度手を振り上げる。

―――次に手刀が決まったとき、黒服の首は、無かった。



(・・・一体・・・今のは・・・?)

自分の視界に、黒服はいない。

今いるのは、4人の「何か」だけ。

その「何か」が、こっちに近づいてくる。

「う・・・」

俺は、一歩下がる。

「・・・・お前らは何者だ!
 ・・・・俺達の味方か!」

それだけを、聞く。

だが、「何か」は口を開かない。

じりじりと、こっちに詰め寄ってくる。

―――突然、そのうちの一人が走り出した。

その一人はまっすぐ俺に向かい走ってくる。

(・・・・来るのか・・・?)

俺の目の前に来た瞬間、ストレート。

俺はそれをかわし、足払いをかける。

だが既にそこに相手の姿はなく、足は虚しく回転する。

「・・・グッ!」

後ろに気配を感じ、瞬時に転がる。

直後、俺の頭のあった位置にパンチが空を切る。

(4人もか・・・!)

気がつくと、4人は俺を囲むように立っていた。

「・・・・」

俺は右手のマシンガンを確認する。

(・・・・準備は・・・大丈夫、すぐにでも発射できる・・・・)

俺は銃を構える。

さっき襲ってきた奴に狙いを定め、引き金を引く。

弾が飛ぶ。

―――しかしそれは空を切り、壁に当たり落ちる。

(な、なんだと・・・!)

「何か」は、走っていた。

銃弾を走ってかわす―――映画のような光景だった。

(呑気なことは言ってられないか・・・!)

「何か」が俺に迫る。

転がる、銃を盾にする、しゃがむ、飛ぶ――――。

あらゆる手段を使い、敵の攻撃をかわす。

(クソッ・・・!
 なんなんだ・・・・・。
 何なんだ、こいつらは!)



隙を見て、俺は逃げていた。

(・・・あんな奴ら、まともに相手なんか出来ない・・・!)

マシンガンは、通常なら有り得ない方向にひん曲がっていた。

(・・・マズイ・・・)

出口に向かい、走る。

(・・・あいつらは・・・一人じゃ倒せない・・・・・!)

元来た道を思い出し、できる限り速く走る。

(・・・・仲間を集めないと・・・皆殺しになる・・・・!)

廊下の遠くに、朝日の射し込む場所を見つける。

(・・・アイツらは・・・誰の味方でもない・・・・!)

俺は、アジトから出た。






アジトの外では、野球マスクのノートパソコンが一台置いてあった。

【35 鋼 毅 所持武器 弓のみ】【「何か」 4体 無傷】
【残り24人】