49 (・・・・・・このままじゃ、キリがない・・・) 俺も、薄々感じてきていた。 黒松達と別れてから、俺はスタンにより戦地を移動し、敵を引きつけていた。 スタンを使ったときに銃を奪ったため、武器に困ることはないと思っていた。 (・・・だが・・・この有様、か) 俺はバッグの中を見る。 中にあるのは、ショットガンとハンドガン、マシンガンに弓矢。 そのうちショットガンとハンドガンは弾切れ、マシンガンも残りの弾倉は5つ。 (・・・敵はいくらでも沸いてくる・・・。 ・・・・俺も・・・そろそろ、潮時か・・・・) バッグにマシンガン以外の物を詰める。 弾倉を左手に全て掴み、右手でマシンガンを持つ。 (・・・思えば・・・いろいろあったものだ・・・) 俺の心は、そこが戦場とは思えないほど静かだった。 それにつられてか、部屋の外の音もシャットアウトされてくる。 (・・・大神に直接トドメを刺せないのは残念だが――― ―――ヤツらなら、やってくれる。 俺が大神と語らうのは、あの世に行ってからでも・・・遅くはない) 一回、深く息を吸う。 そして、静かに、息を吐く。 (・・・・行くか・・・!) 部屋から、飛び出す。 マシンガンを構える。 標準を合わせ、引き金を引く―――――。 ――――はずだった。 俺は、自分の目を疑った。 (敵が・・・反対方向を向いている・・・?) それどころか、後ろにいる何かと交戦しているように見える。 (・・・黒松が・・・帰ってきたのか・・・・?) だが、それはなかった。 戦っている敵兵達は、後ろから来る何かに押されていた。 一人、また一人と、敵の黒服が倒れていく。 そして、それを見て戦意を無くした黒服達が、銃を捨て逃げていく。 本来の敵である俺の姿を見ても、逃げることを止めない。 (・・・何が・・・何が起こっている・・・・?) やがて、黒服が指折りで数えられるほどの数にまで減る。 それにより、後ろにいる「何か」の姿が見えてくる。 (・・・・4体・・・か? ・・・・何も持っていないように見えるが・・・。 奴らを倒しているということは、俺達の味方なのか・・・?) 「ひ、ひいっ・・・!」 黒服の一人が銃を落とす。 「何か」が、座り込んだ黒服に近寄る。 黒服は逃げようと地面を這うが、全然前に進んでいない。 「何か」が、手を振り上げる。 (・・・何も持っていない・・・?) 「お、お助けっ・・・!」 手刀が、振り下ろされる。 黒服は、その手刀をガードするように構える。 手刀が、ガードしている手にあたる。 ―――次の瞬間だった。 黒服の、手刀の当たったところから先の部分が消える。 (な・・・・!) 「あ・・・あぁぁぁぁぁぁああああああ!!」 黒服が叫ぶ。 「何か」はそれに構わず、もう一度手を振り上げる。 ―――次に手刀が決まったとき、黒服の首は、無かった。 (・・・一体・・・今のは・・・?) 自分の視界に、黒服はいない。 今いるのは、4人の「何か」だけ。 その「何か」が、こっちに近づいてくる。 「う・・・」 俺は、一歩下がる。 「・・・・お前らは何者だ! ・・・・俺達の味方か!」 それだけを、聞く。 だが、「何か」は口を開かない。 じりじりと、こっちに詰め寄ってくる。 ―――突然、そのうちの一人が走り出した。 その一人はまっすぐ俺に向かい走ってくる。 (・・・・来るのか・・・?) 俺の目の前に来た瞬間、ストレート。 俺はそれをかわし、足払いをかける。 だが既にそこに相手の姿はなく、足は虚しく回転する。 「・・・グッ!」 後ろに気配を感じ、瞬時に転がる。 直後、俺の頭のあった位置にパンチが空を切る。 (4人もか・・・!) 気がつくと、4人は俺を囲むように立っていた。 「・・・・」 俺は右手のマシンガンを確認する。 (・・・・準備は・・・大丈夫、すぐにでも発射できる・・・・) 俺は銃を構える。 さっき襲ってきた奴に狙いを定め、引き金を引く。 弾が飛ぶ。 ―――しかしそれは空を切り、壁に当たり落ちる。 (な、なんだと・・・!) 「何か」は、走っていた。 銃弾を走ってかわす―――映画のような光景だった。 (呑気なことは言ってられないか・・・!) 「何か」が俺に迫る。 転がる、銃を盾にする、しゃがむ、飛ぶ――――。 あらゆる手段を使い、敵の攻撃をかわす。 (クソッ・・・! なんなんだ・・・・・。 何なんだ、こいつらは!) 隙を見て、俺は逃げていた。 (・・・あんな奴ら、まともに相手なんか出来ない・・・!) マシンガンは、通常なら有り得ない方向にひん曲がっていた。 (・・・マズイ・・・) 出口に向かい、走る。 (・・・あいつらは・・・一人じゃ倒せない・・・・・!) 元来た道を思い出し、できる限り速く走る。 (・・・・仲間を集めないと・・・皆殺しになる・・・・!) 廊下の遠くに、朝日の射し込む場所を見つける。 (・・・アイツらは・・・誰の味方でもない・・・・!) 俺は、アジトから出た。 アジトの外では、野球マスクのノートパソコンが一台置いてあった。 【35 鋼 毅 所持武器 弓のみ】【「何か」 4体 無傷】 【残り24人】