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一人の少女が、森の中で目を覚ました。

少女の名前は、倉刈 日出子(14番)。

半日以上、誰に会うこともなくこの島で生きてきた少女である。

(・・・私・・・寝てた・・・?)

日出子が辺りを見渡す。

周りには、誰もいない。

(・・・木に寄りかかって休んでたら、そのまま寝ちゃったのかな・・・)

日出子が伸びをする。

(・・・お父さん、放送の時には名前は呼ばれてなかった・・・。
 まだ、生きてる・・・。
 早く探さなきゃ・・・)

立ち上がろうとしたとき、腹の虫が一回鳴った。

周りに誰もいないのに、赤面する。

(まずは、何か食べることにしよ・・・)

バッグからパンと水を出し、再びしゃがむ。

(好きなときに食べ物が食べれるって、幸せなんだろうな・・・)

少しずつ、パンをかじる。

(・・・私は今、幸せな状況にいるの・・・?)

水を、少し口に入れる。

(・・・幸せなわけ、無いよね・・・)

パンを1/3ほど食べると、バッグに再びしまう。

しまっている途中、何かが手に当たった。

(・・・こんなもの、使う機会あるのかな・・・)

支給品、救急セット。

それが彼女に渡された「武器」だった。

(もし銃弾が当たったら、救急セットを使う暇なんて無いんじゃないのかな・・)

箱を、外に取り出す。

(意外といろいろ入ってるんだ・・・。
 ・・・・高いんだろうなあ、これ・・・)

中に入っているのは、ガーゼ、ピンセット、オキシドールにバンドエイド・・・。

(転んだときの消毒ぐらいならできそうだけど・・・)

箱を閉じ、バックの中に収める。

(・・・二人以上じゃないと、使うのは難しそう・・・)

結局、同じところに考えが回る。

バッグを閉め、立ち上がる。

(・・・とりあえず、お父さんを捜さなきゃ・・・)

日出子が、歩を進めようとした時だった。

突然、目の前に人影が現れる。

「キャッ!」

思わず、軽い悲鳴をあげる日出子。

そして、恐る恐るといった感じで顔を上げる。

「・・・・水木・・・さん?」

そこには、斧を持ち、服を赤く染めた、父の昔の友人がいた。

「・・・・日出子か。久しぶりだな」

淡々と、水木が言う。

「・・・あ、あの・・・」

「・・・何だ」

「・・・私の父、見ませんでしたか?
 私、この島で今初めて人に会ったんですよ・・・」

日出子が、水木に尋ねる。

服に付いている血は、今は気にしていなかった。

「・・・そうか、初めてか・・・・」

水木が、ゆっくりと日出子の方を向く。

(さっきの爆音が気になって来たが、思わぬ所で参加者を一人減らせたな・・・)

爆音というのは、当然アジト突入の際のロケット・ランチャーである。

「・・・倉刈だったら・・・」

「あ、ご存じで・・・・・!」

そこまで言いかけて、日出子の目が見開かれる。

「・・・とろい奴だからな、すぐに会えるだろう・・・」

日出子の目の前には、斧を振りかぶった、殺人者の姿があった。

「・・・な、なんで・・・」

呟くように、日出子が言う。

「・・・・愛のためだ。
 ・・・このゲームは二人しか生き残れない。
 ・・・・情に左右されたら、死が待っている。
 ・・・・・・俺は―――愛を、守る」

水木の目は、日出子の知っている水木の目ではなかった。

(今までも・・・誰かが・・・)

「・・・そんな・・・」

水木が、日出子を見る。

「・・・そんなことをして・・・愛さんが・・・喜ぶと、思いますか・・・?」

日出子が、水木を見返す。

その目は、泣いているようにも、怒っているようにも見えた。

「・・・何とでも言え」

水木が視線を反らす。

「・・・俺は・・・愛のために、戦う。
 ・・・・・それだけだ」

そして、斧を握り直す。

「―――じゃあな」






少し前。

二人のいるそばを、一人の男が歩いていた。

男は大事な人を守るため、彷徨い歩いていた。

男が汗を拭くため立ち止まると、どこからともなく叫び声が聞こえてきた。

男はその声に聞き覚えがあった。

その声の方向に、走った。

走った先で見たのは、斧を振り上げるかつての友人と、自分の守るべき人。

既に討論は終わった様子で、友人は斧を振り上げていた。

(―――このままでは、日出子が―――)

そう思った男は、後のことは何も考えることなく、飛び出していた。






斧が落ちる。

血が飛ぶ。

うめき声が聞こえる。

私は、死んだ―――。

しかし、不思議だ。

斧が刺さったはずなのに、何かに突き飛ばされたような感じがする。

目を開く。

―――私は、無傷だった。

私に刺さるはずだった斧は、突然飛び出してきた男の背中に刺さっていた。

「は、は・・・・。
 日出子・・・やっと、会えた・・・・」

飛び出してきた男、それは――――。

「お、お父さんっ!」

―――紛れもない、自分の父親だった。

【15 倉刈 仁志 瀕死】
【14 倉刈 日出子 43 水木 卓 無傷】
【残り24人】