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『ねえ、例えば、だよ?』
『ん?』
『親でも見分けるのに苦労するぐらい、顔の似てる二人がいるとするでしょ』
『ああ、それで?』
『それで、一人はすっごい悪い人で、もう一人はやさしい人なの』
『そりゃまた極端だな』
『例えばの話だからいいの。
・・・それで、ここに悪い方の人に仕返しをしようと思っている人がいるの』
『・・・・』
『でも、その人は顔が似ている人がいるなんて知らなかったの。
だから、間違えてやさしい人に仕返しをしちゃったの』
『気の毒な話だな』
『・・・この場合でさ、悪いのって・・・どっちだと思う?』
『ん?そりゃ勘違いした奴が悪いんじゃないのか?』
『あ、そうじゃなくて・・・。
悪い人と、やさしい人。どっちが悪いと思う?』
『お前、日本語がおかしいぞ・・・。
そりゃ、悪い性格の奴じゃねーの?』
『・・・やっぱり、そうだよね』
『なんだ?やさしい奴って答えてほしかったのか?』
『そうじゃないんだけど・・・・。
――――顔が似ているってことは、罪にはならないのかな』
『何・・・?』
『生まれつき、同じ様な顔を持ってしまった。
・・・生まれたこと自体が、罪になったり・・・しないのかな』
『お前・・・・』
『・・・私には、分からないんだ。
キミなら、分かるかな?』
『・・・。
・・・・それは・・・・違うと思う』
『・・・』
『人は、生きる。
たとえ顔が似てようと、二人は別の境遇で生きてきたんだ。
境遇の違いで、普通に生きてきただけなのに罪にされたら、その人が可哀想だろ?』
『・・・・』
『俺も・・・よく分かんないけどな。
でも・・・これだけは言える。
俺達には、生きる権利がある。
それは誰にでも・・・絶対に、ある』
『・・・そう・・・だよね』
『ああ、そうさ』
『うん・・・』
『びっくりしたぜ、突然こんな事聞いてきて』
『・・・・・ありがとう』
『ん?なんか言ったか?』
『ううん、なんでもない』
「疲れたでやんす、休もうでやんす!」
「落田、もっと静かに歩け」
「そんなこと言ったってかなり歩いているでやんすよ?
オイラそろそろ限界でやんす!」
「・・・・」
「イタイでやんす!
外藤さん、無言で殴らないでほしいでやんす!」
「仕方がない、少し休憩にしましょう・・・」
「おいおい、いいのか水原?」
「・・・これ以上騒がれても困ります」
「・・・・ま、それには同意だがな」
「やったでやんす!休憩でやんす!
ご飯を食べるでやんす!」
「・・・・」
島は既に昼時となっていた。
朝方に聞いた爆音以来、島では銃声が響いていない。
ワシらは、ひとまず音のした方へ行くという結論に達した。
相変わらず銃器は無かったが、人数の理で押し切る作戦をとった。
そして、ワシが先頭に立って進行するはずだったのだが―――
「ところで外藤さん」
「ん?どないした?」
「・・・・4時間もあれば着く計算だったと思うんですが、まだですか?」
「あ、いや、それは・・・お、お前の計算が間違ってるとちゃうん?」
「・・・・外藤さんの案内が間違っていたと思うんですが?」
「・・・スイマセン」
「やーい、外藤さん怒られてるでやんす!」
「・・・」
「て、鉄パイプは勘弁でやんす・・・」
ワシ、落田、三谷、水原は相変わらずだった。
変化があったのは、島岡と村上。
泣いているときずっと側にいたからか、二人はよく話すようになっていた。
「だから、そこで手首をこう使うんじゃ」
「いや、でもこの場面だったら―――」
―――何を話しているのかさっぱり分からない。
(それにしても、村上の奴・・・)
ワシは、ふと思った。
(奥手と見せかけて、こんなときに彼女ゲットかいな・・・。
しかも結構べっぴんときよる。チェッ!)
その時、ワシは、遠くの方に人影を見た。
(天本さんを殺したのは、山田君にそっくりの人―――)
頭の中は、このことだけを考えていた。
私には、分からなかった。
人の言った言葉通りに動き、人殺しをする人を憎む自分がありながら―――
―――人殺しを、自らやろうとしている自分がいることが。
(平和―――恐怖に包まれながらも、つかの間の平和―――)
銃を握りしめる。
(そんな平和を奪った、アイツは―――)
(アイツだけは、許さない)
―――歩き始めてから、半日が経とうとしていた時だった。
「痛っ!外藤さん、無言で殴らないで欲しいでやんす!」
(!
・・・「やんす」・・・。
ということは、近くにいる・・・・)
そっと近づく。
(男が5人、女が1人・・・。
みんな武器は近くにある物かな・・・?
・・・・木刀、パイプ、チェンソー、グローブ・・・あれは、指揮棒?
女の人の武器が分かんないけど・・・まあ大丈夫かな。
―――銃を発射しながら飛び出して、撃てばいい。
・・・・周りにいる人は、みんな仲間だ。
だったら・・・・同罪よね)
安全装置を外す。
笑い声が聞こえてくる。
(・・・・やっぱり・・・・・。
あの人達には、大切な人を奪われた気持ちなんて・・・・分かってない。
―――天本さん、小山君――――見てて)
私は、藪から飛び出した。
女は、銃を持っていた。
―――そしてそれは、既に発射済みだった。
「な、なんでやんす!」
そういった直後、落田の頭が爆発する。
「落田ァ!」
三谷が頭のない落田に近寄る。
しかし三谷にも銃弾が当たり、三谷がクルクルと舞う。
「落田さん、三谷さん!」
叫ぶ水原。
その叫びは、自身の体と共に銃弾に奪われる。
「あれは・・・ユイ!
アンタ、何やって・・・キャアッ!」
立ち上がった島岡にも銃弾が当たり、仰け反る。
「島岡ッ・・・!」
島岡をかばうように村上が前に立つ。
村上の体に穴が開く。血を噴き、倒れる。
容赦なく来る弾丸。
例外無くそれはワシにも襲ってくる。
初めて感じる、銃弾の感触。
(やっぱ・・・・殴り合いとは・・・全然違うんやな・・・)
ワシは、倒れた。
空を切る鉛玉。
弾が当たり、狂ったように踊る6人の人間。
―――その場は、死の舞踏。
【7 落田 太二 47 村上 海士 死亡】
【三谷・水原・島岡・外藤 内3人死亡、1人重傷】
【12 神木 唯 場から撤退】
【残り18人】