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―――諸君、アンニョンハセヨ。

日本のヨ○様こと、智林 昭雄だ。

――――何、誰もそんなこと言ってない?

うるさい、人の話は黙って聞け!

我輩が最後に出た話は一ヶ月ほど前。

さぞ寂しかったであろう。

だが、もう安心しろ。

残り人数も16人、我輩はその一人。

―――つまり、だ。

我輩は、パワポケシリーズのベスト16に入ったのだ!

―――え?関係ない?

―――ともかく。

我輩が強く、賢く、カッコイイということが証明された。

―――まあ我輩、棍棒を持った男以外、誰とも会っていないわけだが。

コラそこ、卑怯者とか言うな!

全く―――近頃のガキは礼儀を知らん。礼儀を。

あー、そこそこ!パワポケ1・2で遊ぶんじゃない!6で遊べ、6で!

大体だぞ貴様ら。

今までのシリーズで、一番人気のある作品を何だと思ってやがる!

――――まあ我輩も知らないわけだが。

――――そんなことは置いといて、だ。

とにかく、我輩は今ストーリー上でも重要な立場にいる。

何故かって?そりゃベスト16だからな。あっさり死んだらあんまりだろ?

智林優勝説もちらほら出ているそうではないか、ん?

まあ貴様らはパソコンの前で指でもしゃぶりながら「智林様〜」とか言っていればいいのだ。

―――む、お前、何をする。離せコラうわなにするやめ――――





日が暮れかけていた。

森の中は、BR開始から二度目の暗闇を迎えようとしていた。

―――アジトから少し離れた森の中。

一本の木の上に、宇宙との交信を終えた智林の姿があった。

夢から目が覚めたように、辺りを見回している。

智林の姿は、下からは見えない。

太い枝の上にディパックも置いてあるため、そこに人がいるという痕跡は無い。

木の下も、一見何もないように見える。

―――だが、そこには智林特製の仕掛けがあった。

智林は、夜寝ずに行動していた。

誰もいないタイミングを見計らい町に侵入し、必要なものを集めた。

日が完全に昇らないうちに現在の場所にきて、仕掛けを作った―――。

智林の行動は、こんな感じである。

睡眠は、一切とっていない。

―――それは、罠に人が侵入したときのため。

智林は、ずっと起きている必要があった。

もし失敗すれば、自分の命が危険にさらされる―――。

生きるためにも、休息をとる暇は無かった。



(―――誰もこないのか―――?
 何度もこの近くで銃声がしているのだが――――
ん―――――!)

智林は、下を覗いていた顔を引っ込めた。

(―――足音がする――――)

足音は、徐々に近くなってきていた。

(――――いよいよ――――)

ディパックから必要なものを取り出す。

(我輩の天才的な仕掛けの、実践だ――――)

―――智林は、ディパックを二つ持っていた。

一つは自分のもの、もう一つはマコンデから奪ったもの。

そして―――片方のバックに、食料や水を集めていた。

―――葉の間から、時々姿が見える。

(・・・・5・・・4・・・)

カウントダウンを始める。

(3・・・2・・・1・・・!)

―――ターゲットが、仕掛けの位置にたどり着いた。

(0!)

―――ターゲットが、突然穴に落ちる。

(落とし穴、成功!)

続けて、智林が食料の入っていないバックを落とす。

それは凄い速さで落ちていき、穴の中に入る。

(石も―――成功か―――?)

―――バックの中身は、大量の石。

そもそもこの作戦は、簡単なものだった。

穴の上にシートをかぶせ、その上に葉っぱを乗せる。

幸い、この島は常緑樹にも落葉樹にも恵まれており、枯葉も隠れる木も簡単に見つかった。

あとは、落とし穴に落ちた人めがけて石入りのバックを落とすだけ。

簡単で、確実に仕留められる方法だった。

―――相手が、普通の人間ならば。



―――智林が、木の上から降りてくる。

―――それは、確認をするためではない。

―――――――逃げるためだった。

――――――自分が考えた完璧なトラップを超えてきた、悪魔から逃げるため。

(何だ、あいつは!)

走る。

(何故あの石を喰らって生きている・・・!)

追いかけてくる。

(・・・だが・・・・)

走りながら、微笑む。

(・・・我輩の作戦がそれだけだと思うなよ!)

「ハァァァァァアアアアアアアアッッッッ!!」

急激に加速する。

(見ろゴロー、兄の素晴らしい走りを!我輩は今鳥のように軽やかに走っているぞ!)

―――鳥は走れないが。

ある程度行ったところで、棍棒を持ち振り返る。

「さあ我輩に楯突く愚か者よ、かかって来い!唯一神昭雄様が相手になってやろう!」

威勢良く言い放ち、右手で棍棒を構え、左手に仕掛けてあったロープを持つ。

後ろから追う男は、間も無く追いつこうとしていた。

「―――馬鹿めッ!」

ロープを、強く引く。

―――走っていた男の足元にロープが張る。

(引っかかった!)

―――相手が転んだところを、棍棒で狙い撃ちする。

これも、簡単な作戦だった。

(張ったロープは3本、鍛えた男でも普通は切れない。この勝負、もらっ・・・!)

――――普通の人間なら、引っかかっていた。

張られたロープは、男の足によって引きちぎられる。

「な、何ッ!」

男は、止まらない。

「クソォッ!」

棍棒を、相手の頭めがけて振る。

―――体が、腕を降った方向に引っ張られた。

―――体のバランスが取れない。

―――重心を動かそうとするが、うまく動かせない。

―――異常を感じて右腕を見たとき、その腕は―――無かった。

「グ・・・ウオォォォォォオオオオオオオッッッッッ!!!」

痛みと悔しさで、雄たけびを上げる。

男が、智林の腕を投げ捨てる。

「ウ・・・・・・・・ククククク・・・・ハハハハハハ!!」

突然、智林が笑い出す。

「・・・・我輩が・・・こんな奴に負けるとは・・・・・クククク」

地面に座り、あぐらをかく。

「・・・・お前、他の連中に誇るといい、この智林 昭雄に勝ったことをな!ハハハハハハハ!!」

腹の底から、笑っていた。

――――そして――――智林の首が――――飛んだ。

【25 智林 昭雄 死亡】
【殺ったのは野球マスク】
【残り15人】