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――――レーダーの探知可能範囲はその場から半径25メートル。

――――その範囲内であれば、電波障害が起こっていない限り有効。






レーダーに、一つの光が見えた。

動いている様子は無い。

(今は、一人でも多くの仲間が欲しい)

私は、その光の方へ歩を進めた。






(・・・・・・・)

不意に、目が開く。

(・・・まだ、生きていたんか・・・・)

腹の辺りが痛い。

(・・・みんなは・・・生きとるのか・・・?)

首を動かそうとする。

(痛ぅ・・・・。頭がクラクラしよる・・・・)

動かしかけた首を戻す。

再び、仰向けになる。

(・・・このまま・・・死ぬんか・・・・)

喉がひどく渇いている。

手を動かし、腹の辺りを触る。

(・・・・ベトベトやな・・・・。血ぃ、出すぎや・・・・)

手を、そのまま空中に上げる。

(・・・はは・・・真っ赤や・・・・)

手は、そのまま力無く落ちてくる。

(・・・・なんで・・・目ぇ覚めたんやろうな・・・・)

―――その時、だった。

近くで、足音が聞こえた。






(・・・・血の匂い・・・・)

最初に感じたのは、それだった。

目の前には、6人の死体。

(―――いや、一人生きているのだから5人か・・・)

私は、まわりをざっと見渡す。

(・・・銃弾を受けているな・・・生きていても、虫の息、か・・・?)

「・・・・そこの・・・アンちゃん・・・・」

「!」

声が聞こえた。

「・・・・いい剣持っとるな・・・・。
 それで・・・・ワシを・・・殺してくれんか・・・?」

「・・・・悪いがその願いは聞けん」

(出血がひどいな・・・・。敗血病かもしれない・・・)

私は、ディバックの中から救急セットを取り出す。

「・・・・消毒をする、染みると思うが我慢してくれ」

「・・・そんなものはしなくていい・・・」

男が、私の手をつかむ。

血で濡れているのか、妙に粘ついていた。

「・・・・ワシを・・・・殺してくれ・・・」

同じ事を言ってくる。

私は、無言で消毒をする。

「・・・・・」

男は、それ以上は何も言わなかった。




「傷はそこまで深くない。出血がひどいが、特に異常は無さそうだ。
 熱は・・・・無さそうだな」

箱にガーゼをしまいながら、男にそう伝える。

ディバックからパンと水を出し、男の前に置く。

「・・・食え。血が足りないはずだ」

男は、それを無言で受け取り食べ始める。

(なんだ、意外と図々しいのだな・・・)

「・・・名は?」

「・・・・・外藤や」

「・・・気分は?」

「・・・・喉が渇いていた。今は大丈夫だ」

「・・・・では、この惨状について話してもらいたいのだが?」

「・・・・・」

外藤は、黙ってしまった。

私は、一つため息を吐く。

「・・・誰かにやられたのか?」

「・・・そうや・・・。
 ワシらは・・・・ワシらは、何の罪も無い・・・。
 それなのに・・・それなのに・・・・アイツは・・・撃ってきよった・・・」

外藤が、地面を拳でたたく。

「・・・やった者は?」

「・・・知らん。ワシらを撃った後逃げよったんやないか?
 クソ・・・・あの青髪めが・・・・・・!」

(青髪?)

――――私には、思い当たる人物が二人いた。

―――一人は、あの山小屋でクレイモアを持っていた人物。

――――もう一人は、鋼と同行していた少女―――神木 唯。

「・・・・これから、どうするつもりだ?」

私は、気になっていたことを聞く。

「ホントは死ぬ気やったが、お前に助けられた以上そうも言ってられん。
 ―――あの青髪を、捜す。
 捜して――ワシが・・・・みんなの仇を取る」

外藤が近くにあった鉄パイプを取り、振る。

「傷が開くぞ、やめておけ」

私は立ち上がり、周りの様子を見る。

(全員知らない顔だな・・・。
 武器は・・・使えそうなものはチェンソーと木刀ぐらいか)

私は二本の木刀を手に取り、軽く素振りをする。

(ふむ、やはり洋刀よりしっくりくる・・・・。
 剣はしまっておくか)

鞘が無いため、少し危ない。

「一つ聞きたいことがあるんや、ええか?」

パンを食べ、水を全部飲み干した外藤が聞いてくる。

「・・・なんだ?」

「・・・・ワシは、気絶していたから放送を聞いとらん。
・	・・・・・誰が死んだか、教えてくれへんか・・・?」

外藤が、顔を伏せながら言う。

「・・・・さあな。私も知らん」

「・・・アンちゃんも聞き逃したのか?」

「いや・・・・・。
 ――――放送なんて、行われていない」

「?どういう・・・ことや?」

「・・・・・。
 大神が―――死んだ――――」

私は、企画書の内容と―――私たちの目的を、外藤に伝えた。

―――雨が、降り始めた。






―――話すことなど、無い。

友人を傷つけた今、すでに失う恐れがあるものは愛以外無い。

相手が誰であろうと、どんな目的を持っていようと――――。

俺は、戦う。

人数を減らすことで、愛の危険が減るなら。

それなら―――言うことはない。

愛と会うまで、それまでは――――

斧を振ることを、やめない。



―――先手は、水木だった。

短刀を野球マスクの顔に向け投げる。

野球マスクが、それを軸を変えてよける。

水木が、飛ぶ。

斧を振りかぶり、顔の中心線めがけて下ろす。

マスクは柄を掴み、斧を止める。

マスクのパンチをかわし、足払いをかける。

斧を持つ手を離し、それをかわす。

自由になった斧で空を横に凪ぐ。

―――フォン――――。

斧は空を切り、水木も反動で動きが止まる。

―――その時雨によりぬかるんだ地面を踏み、水木の態勢が崩れた。

位置がずれる。

水木のいた場所には、マスクの拳。

態勢を立て直した水木は、服を脱ぐ。

水を含み重くなったそれは、音も無く泥の上に落ちる。

マスクが、落ちていた短刀を拾う。

水木が斧を構える。

――――第二ラウンドの、始まりだった。

【10 外藤 侠二 島の真実を聞く 迅雷と同行】
【43 水木 卓 49 野球マスク アジトより多少離れた場】
【残り15人】