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「・・・・滑るで、気いつけえ」

鉄パイプを杖代わりにしながら、ワシが先行する。

「・・・・・」

その後ろから女子が3人、ゆっくりと続く。

―――銃弾は、未だに体に埋まったままだ。

出血は止まってはいるが、痛みは残っている。

体を動かすと、弾が当たった部分が疼く。

杖が無いと、ホントに倒れるかもしれない。

(・・・・今は・・・・止める人は、いない)

実際は女子が2人いるが、その気になれば女の2人ぐらいどうって事無い。

(・・・・仇をとるなら・・・今、や)

ワシは、後ろからついて来る神木を見る。

(・・・・・やれば、ワシはみんなと顔を合わせられなくなる)

三鷹や進藤の顔が、一瞬頭をよぎる。

(・・・・しかし――――――)

目頭が熱くなり、目を閉じる。

(ワシは、ワシは―――――!)

「・・・お前は目を瞑って歩けるのか?
まさか・・・・「心眼」を会得しているのか!?」

「うおっ!!」

目の前には、迅雷の顔。

「大声を出すな、馬鹿。
 どこに敵がいるのか分からんのだぞ」

迅雷の後ろには、少し前テレビでよく見た小杉選手。

「おい、そいつは・・・・」

「・・・・・」

小杉は、黙ったままだ。

「自己紹介ぐらいしろ」

迅雷が小杉を小突く。

「・・・・小杉だ」

ぶっきらぼうにそれだけ言うと、そっぽを向く。

「ワシは外藤や。よろし―――」

差し出した手は、強く小杉に返される。

「―――痛つゥ!何するん!」

「うかつに手を出すのが悪い」

「な、なんやて!」

ワシと小杉の間に、迅雷が入ってくる。

「そこまで、だ。
 ―――外藤、鋼達はどうした?」

「サンプル達と戦争や。
 なぜか相手が3人やったから、ワシは女のお守りや」

「――――お守りは酷いんじゃないの、お守りは?」

「!」

後ろからの声に、慌てて振り向く。

「外藤さん、進むの遅すぎッスよ?
 こんな早く追いつけるとは思わなかったッス!」

「怪我人だから仕方あるまい。
 それより―――迅雷、戻ったのか」

3人は特に慌てた様子も無く、普通に話している。

三鷹は女子と、鋼は迅雷と、小角は小杉と話している。

(・・・・ん?)

話に熱中している3人を見ながら、違和感を覚える。

(・・・・なんや?武器はみんな持っとるし・・・・)

3人とも何かがおかしい。

(・・・そうか、動作か・・・・。動作がおかしいんやな?)

そう考えると、3人とも動きが多少ぎこちない。

中でも一番ぎこちないのは三鷹。

(女と話すとき、あいつは良く身振り手振りをしよる)

三鷹が言うには、その方がココロをゲットできるらしい。

(だが・・・その動きが、弱い。
・・・・まさか・・・・)

三鷹に近づき、その腕を掴む。

「あいでででででででッ!!」

「う、うるさいわボケェッ!」

突然耳元で大声を出され、耳がツーンとする。

「と、突然何するんですか!」

「・・・・三鷹」

三鷹の問いを無視し、こっちから問いかける。

「・・・ワシは腕を掴んだだけや。
 別に曲げたわけでもない。ただ掴んだんや」

「・・・・」

「・・・腕見せろ」

ワシが一歩近づくと、三鷹が一歩下がる。

「・・・・遠慮します。ちょっとさっき捻挫したんでね。
 さっきのは過剰反応でした」

「・・・・ホントにそうか?」

ワシがまた一歩踏み寄る。

「・・・・別にどうってこと無いなら見せろ」

「遠慮します。
 どうってこと無いから見せなくてもいいですよね?」

三鷹が一歩下がる。

「・・・」

「・・・・」

睨みあう。

「ええぃ、何でもいいから早う見せい!」

「うわっ!」

肩を掴み、こっちに引き寄せる。

無理矢理袖をまくり、腕を見る。

「うわぁ・・・・こいつは・・・・」

「・・・・ッ・・・・」

三鷹の腕は酷く腫れ上がっていて、どす黒くなっていた。

「み、水持ってきいや!」

「・・・・・」

「三鷹、お前・・・・他にもあるんやないか?
 足とか、胴とか・・・・」

足の裾をまくり、足を見る。

「・・・・・やっぱり、か・・・・・」

「外藤さん、水です・・・・」

進藤から渡されたペットボトルの中身を全て腕にかける。

「・・・・まずいな・・・・。
 おい、他の奴は・・・」

迅雷に尋ねる。

―――すぐに同様に2人が調べられ、2人にも傷が見つかった。

不幸中の幸いか他の2人の傷はそこまで大したものではなかった。

「・・・・クソ、今は処置のしようが無いわ・・・・!」

鋼の話によれば、奴等には1対1という意識が無いらしい。

三鷹は3対1の状況になり、負傷。

その時に鋼と小角が攻撃をした。

軽傷を負ったのもその時である。

「・・・・悪いが、この銃ももう弾が無い。
 迅雷、そっちはどうだ?」

鋼が迅雷に話しかける。

「こっちは大丈夫だが・・・・残量が少ないな。
 ―――小杉、予備マガジンはどうした?」

「ああ?そんなもんねーよ!
 全部俺が使ったぜ。色々大変だったからな」

「な・・・・」

鋼の口がぱっくりと開く。

迅雷もそうなのだろうが、包帯があるため確認できない。

「と、なると・・・対人用で使えるのは・・・。
―――剣と弾の少ない銃二丁、弓に・・・プラスチック爆弾と地雷、か」

「プラスチック爆弾と地雷は・・・無理じゃないッスか?
 どっちかって言うと仕掛ける武器ッスよね・・・・」

「だから・・・さっさと西の町に行って、陣をしけば・・・」

「怪我人が言ったってダメや。
 その足、動くのだけでも大変やったんやないか?」

「う・・・・・」

場が沈黙する。

女子は当然会話に入れないし、小杉は入る気も無さそうだ。

「・・・・問題は武器、ということか」

迅雷が立ち上がる。

「何する気や?」

「・・・・大神のアジトへ行って来る」

「え!ま、待つッス!」

小角が引き止める。

「迅雷さん動きっぱなしッスよ?
 いい加減休んだほうがいいッス!」

「・・・そうだな。アジトなら俺が―――」

「―――島の中を動くのは私が一番早い。
 このぐらいは慣れている。
 ―――時間が無い。私は行くぞ」

「あ、ちょっと―――」

小角が止める間も無く、迅雷が去る。

「・・・・行っちまったッス・・・・」

「・・・・せっかちな忍者ヤローだぜ、ケッ!」

小杉が煙草を取り出し、火をつける。

「小杉、ワシにもくれ」

「呼び捨てで呼ぶな」

「・・・・小杉君、ワシに煙草をくれ」

「・・・"様"だ」

「・・・・もうええわ」

ため息交じりに、ワシは空を眺める。

「・・・なんや、もう暗いやんけ・・・」

その呟きを聞いてか、鋼がみんなに言う。

「・・・仕方が無い、今日はここで泊まる」

「え、何言ってるッスか!
 こんなところで―――」

「怪我人がいるし、みんな疲れている。
 お前も休んでおけ」

小角にそう言うと、鋼はその場に座る。

「・・・ま、得策やな」

ワシも地面に座りこむ。

三鷹や女子は既に寝たらしい。

(早いご就寝やな)

そう思いながらワシも目を瞑る。

(せめて・・・・起きるまでは・・・・)

疲れていたのか、だんだん意識が遠くなる。

(・・・・平和な・・・・・・じかん・・・・・)

【45 三鷹 光一 腕と足 重症】
【時間は夕方】
【残り12人】