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『サンプルは、普通の人間と同じ様に倒せる。
 逃げる隙を与えず、押し続けろ。
 ―――お前達なら、出来る筈だ』

『おう、任しとき』

『了解ッス。やってやるッス!』

『・・・フン、言われるまでもねえよ』

『本当は外藤には戦って欲しくないのだが・・・すまない』

『いや、お前の言うことが本当なら、野球マスクはパワーアップしとんのやろ?
 ワシのことはええから、2人で野球マスクを相手にすればええ』

『・・・・ありがとう』

『奴らに個人という概念は無い。
 相手は、絶対に逃すな。
 背を向けたら、その隙を狙え』

『あと、これを渡しておこう』

『・・・?
 これって、爆弾と地雷ッスか?』

『ああ、プラスチック爆弾とクレイモアだ。
 戦う時は、皆バラバラで広がって戦え。
 これを地面に仕掛け、相手に踏ませる。
 すぐに回復するだろうが、それより先に爆弾をサンプルに張るんだ。
 適当に離れ、起動。
 ――――残酷ではあるが、これが一番楽だ』

『・・・・』

『女子達はどうするんや?
 やはり家の中にいた方がいいか?』

『いや、外にいた方がいい。
 万が一家の中に敵が来た時、逃げにくいしこちらからも応戦しにくい』

『・・・・怖いだろうとは思うが、目は瞑るな。
 ――――しっかり、見届けろ』

『・・・・・・』

『よし、それじゃ解散だ。
 ―――疲れているとは思うが、油断はするな』






「小角、こっちはワシが引き受ける、お前はあっちを!」

「ウッス!了解ッス!」

小角が剣を持ち、離れる。

「―――ウラァ!
 かかって来やがれ!」

銃を左手に、鉄パイプを右手に持ち、叫ぶ。

「ゥウウウウウゥゥウウウ――――」

「獣みたいな声出しよって・・・・・。
 ――――来い!」

目の前のサンプルの手には、血のついた斧。

(こいつ、三鷹を殺した・・・・!)

そう思った瞬間、急激に憎悪が増す。

(・・・地雷なんてケチな倒し方はせん。
 ―――この手で―――直接動きを止めたる!)

「ゥォオオオオオオオオ!!!」

「ヤアアアアアッッッ!!」

斧が振り下ろされる。

大きくそれをかわし、銃の引き金を引く。

――――パラララララ――――。

予想に反した機械的な音があたりに響く。

サンプルが走り出す。

銃口を合わせて動かすが、全く当たらない。

「オオオオオオオオッッ!!」

「!」

突然距離を詰め、再び斧を振りかざす。

「ぐ、グッ・・・!」

銃を捨て、両手でパイプを持つ。

下ろされる斧をパイプの真ん中で受け止める。

(つ、強い・・・・!
 このままじゃ・・・・押し負ける・・・・)

―――そんな時、再び胴に鈍痛が走る。

「グ・・・・・ウ・・・・・・」

(・・・ダメや・・・・力が入らん・・・・・。
 クソ、ワシは・・・・ワシは、こんなん一匹すら倒せんのか!)

斧の刃が、目の前まで迫る。

「ウ・・・・ウォォオオオオオオオッッ!!」

腕に力を寄せ、体ごと相手を突き放す。

「ハァ・・・ハァ・・・・!」

サンプルが尻餅をつき、ワシも体勢を崩す。

(い、今や・・・・!)

パイプを握りなおし、サンプルに近づく。

サンプルは、立ち上がろうとしている。

――――その時だった。

――――島に爆音が響き、辺りが突然明るくなる。

――――サンプルの顔が、はっきりと照らされる。

――――その顔は、アイツに似ていて、そして――――。

「――――キャプテン!」

―――一瞬の、判断ミスだった。

――――唯の声に振り向いた自分がいた。

――――唯は、ようやく見えたサンプルの顔を見て、叫んでいた。

――――ワシは、その声に――――振り向いた。

サンプルが、斧を振り上げる。

気付いた時には、もう遅かった。

「!」

とっさに体の軸をずらす。しかし――――

「グ、グオオオオオオオッッ!!」

痛みが、全身を駆け抜ける。

鈍痛なんかではない。激しい、鋭い痛み。

ゴトリ、とワシの左腕が地面に落ちる。

「――――外藤さんッ!」

―――遠くで、小角の声が聞こえる。

サンプルが、横に斧を構えている。

(首・・・・か。
 ―――今度は―――首が、飛ぶんか・・・・)

立ち上がろうとするが、うまく力が入らない。

出血がひどいせいか、頭もふらつく。

(――――クソ、終わりや―――――)

―――ドン、と体が押される。

―――顔に、何かの液体が降ってくる。

(なんや、パッと死ねんるんとちゃうんか・・・・。
 まだ痛むで、左腕――――)

「・・・・やく・・・・・」

(何や?なんか・・・聞こえるで?)

「・・・はやく・・・・・」

(はやく・・・・?何や、何を早くするんや?)

ワシは、目を開ける。

「!」

目の前の光景が、はっきりと目に焼きつく。

「―――神木!」

ワシの首を飛ばすはずだった斧は、神木の脇腹に深々と刺さっていた。

神木が体ごと斧を止めているため、斧は刺さったままになっている。

「・・・はやく・・・爆弾・・・・・・使ってよ・・・・・」

「え?あ、ああ!」

思い出したように、プラスチック爆弾をサンプルの背中につける。

「こ、これでオーケーや!
 神木、離れろ!」

「・・・離れられるわけ・・・・無いでしょ・・・・」

確かに、神木の腹には深く斧が刺さっているため簡単には離れられそうに無い。

かといって、片手のワシには引き抜くなんて無理だ。

「・・・・いいの・・・・私は・・・・キャプテンと、ここで・・・・」

「・・・・・・」

―――ボタンは、手元にあった。

(ワシが押せば、サンプルは死ぬ。
 ――――神木も道連れで、や)

サンプルが、激しく動く。

神木は、まだ斧を離していない。

(だが―――ワシは、望んでいたんじゃないのか?
 ――――神木への―――皆の、敵討ちを――――)

「――――外藤さん、離れるッス!」

―――突然、思考に入ってくる声があった。

ワシは声に従い、サンプルから離れる。

―――小角が剣を振り、サンプルの手が胴体と離れる。

―――反動でサンプルと唯が倒れる。

―――小角が唯を支え、そのままサンプルから離れる。

「―――今ッス!」

――――手の中のボタンを、押す。

――――――目の前が、急に明るくなった。



「唯さん、しっかりするッス!」

「そうや、しっかりせえ!」

応急処置を済ませ、唯を寝かす。

「・・・・キャプテン、死んじゃった・・・・よね・・・」

「・・・ああ」

「しゃべっちゃダメッス!
 大人しく、安静にしてるッス!」

小角が止めるが、唯は聞かない。

「・・・・・これで・・・・・いいでしょ・・・?」

「・・・は?」

「落田さん・・・・だっけ?
 勘違いして・・・・殺しちゃって・・・・・・・。
・・・・私1人の・・・命ぐらいじゃ、足りないと思うけど・・・・・」

「・・・な・・・・!」

「・・・・お前、だから飛び込んできたんか?」

「・・・・ううん・・・・・。
 キャプテンが・・・・人を殺すとこ、見たくなかったから・・・・」

(そうか、三鷹の時も暗かったからな・・・・)

「・・・・と、とにかく、これ以上喋っちゃ――――」

「・・・・・・2人は・・・早く、他の人を助けてあげて・・・・。
 2人の女の子も・・・・守ってあげて・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・天本さん・・・・小山君・・・・キャプテン・・・・・。
・・・・・みんな・・・・さようなら・・・・」

―――唯が、目を閉じた。

(クソ・・・・ワシも――――限界・・・・・・や・・・・)

―――意識が、深く沈んでいった。

【12 神木 唯 sample-b  sample-d  死亡】
【10 外藤 侠二 気絶】
【残り9人】