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「――――久しぶりじゃねえか――――コナミ」
俺は、手で銃をいじりながら話し掛ける。
「ウウウウウウウゥゥゥ・・・」
「・・・・獣みたいな声出しやがって、バーカ」
奴が睨んでくる視線を、そのまま睨み返す。
「・・・誰が、いつ、その体を改造していいなんて言った・・・?」
「フゥゥゥウウウウウウ・・・・」
「・・・・テメエとの縁も、ここまでだ・・・・」
迅雷から返してもらったマグナムを右手に持つ。
「・・・・・俺は地雷なんか使わねえ。
―――直接、お前を倒す」
肩幅に足を開き、銃を構える。
「―――――死ねッ!」
――――引き金を、引いた。
―――二軍の試合にもろくに出してもらえず、来る日も来る日も練習。
その日も、俺はグレていた。
「コナミくん〜。
今からミーティングでやんすよ」
当然、そんなものに出る気は無い。
「うるせえな!
俺は、そんなメンドクサイものに参加しねえんだよ」
「ええ〜!?
クビになってしまうでやんすよぉー!」
凡田は、なぜかいつもついて来る。
昔モグラーズにいた選手と似ているからだろうか。
「なんなんだよ、ついて来んなよぉー!
ふん、どうせ俺ぁお荷物選手だよっ!」
その日は、いつもに増して不機嫌だった。
凡田に背を向け、走り出す。
―――そして、角を曲がった時だった。
突然誰かとぶつかり、意識が遠くなる。
――――次に起きた時、突然知らない顔が目に入った。
「お、小杉。気がついたか!」
「あー、心配したぜ?
ずっと寝てたんだからな」
「早いとこ退院して、試合で活躍してくれよ?」
(な、何を言っている?
というより・・・お前ら、誰だ?)
「・・・おい、ホントに大丈夫なのか?
目が虚ろだぞ?」
(・・・・よく分からんが、とりあえず話を合わせておくか)
「・・・ああ、大丈夫だ。
退院手続き、誰かとってくれ」
「お、その調子だ、小杉!
立てるか?・・・よし、じゃあ行こうぜ!」
(・・・小杉・・?
小杉って、あの小杉優作の事か?)
―――しばらくは、大変な日々が続いた。
何かあるたびに「コナミ」として返事をしそうになり、危なかった。
使うことの無かった敬語を使う、態度、礼儀――――。
塚本が現れた時は、本当に救われた気持ちになった。
しかし、塚本でも俺の野球能力は上げられなかった。
二軍でもクビスレスレだった俺が一軍のバッター達に敵う訳も無く、ずるずると成績は落ちる。
その間にも、俺と体が入れ替わったアイツはどんどん成績を上げていく。
CMの出演依頼も打ち切られ、チームメイトからの信頼も消えていく。
―――そして、体が入れ替わって2年が過ぎた。
アイツは開幕一軍となり、モグラーズもひさびさの活躍を見せていた。
そんなアイツを見ているうちに、俺の中の何かが変わっていった。
俺は練習を始め、塚本と縁を切った。
長い間使っていなかった体は簡単には戻ってくれなかったが、少しずつ調子が出てきた。
チームからの信頼も復活し、スタメンにも戻ることができた。
――――そして、あっという間に日本シリーズが来た。
俺とアイツは初めて勝負をし、俺は負けた。
試合後、「来年も勝ってやるよ」というアイツを見て、俺はまた奮発した。
―――だが、俺の頂点はそこまでだった。
綾華に呼び出された俺は、廃ビルである話を聞く。
あの女は「プロペラ団」の一員らしく、俺を狙っていたらしい。
俺は自分が「小杉」では無いことを話したが、それでも構わない、と言われた。
コナミとの対決を考えた俺は話を断り、奴に毒を打たれた。
―――気がついたときには、トラックの荷台だった。
塚本に売られ、俺は幸せ島へと送られた。
―――コナミとは、一回も連絡を取っていなかった。
島から帰った時、奴と連絡など取れず、ずっと会わないままだった。
―――今から考えれば、唯一、俺が信頼していたのが、コナミだったのかもしれない。
「――――――!」
―――ダァン、ダァン!
右手と左手の銃を交互に撃ち、コナミの動きを牽制する。
―――が、奴はそれを大きく迂回してかわす。
「・・・・・クソッ」
左手の銃を捨て、腰に下げていたマシンガンを取る。
「―――ラアアアアアアッッ!!」
円を描くように銃を撃ち、コナミの動きを見る。
―――狙い通り、コナミは近づいてこない。
(・・・・・勝負に出るなら・・・。
至近距離で弾を当て、爆弾を貼り付けた方がいい。
・・・近づかなければ、始まんねえ・・・・!)
弾を使いきり、マシンガンが止まる。
それを地面に投げ捨て、コナミと向き合う。
「・・・・結局・・・・お前との勝負は、一回きりだったよな?」
「・・・・・」
―――コナミは、動いてこない。
「・・・お前が勝って、それで終わりだ」
「・・・・・ゥゥゥゥ・・・」
「・・・・・これが、最後だ。
これ以上の勝負は――――できない。
――――決着をつけようぜ――――今度こそ、全てを賭けて!」
「・・・ゥゥゥ・・・ウオオオオオオ!!」
―――コナミが、走ってくる。
――――俺の手元には、唯一残された銃、マグナムが一丁。
――――奴のストレートが、目前まで迫る。
――――側転でそれを避け、地面に足をつける。
――――方向転換をしたコナミが、飛び掛ってくる。
――――標準をあわせる暇なんて、無い。
――――俺は、引き金を引いた。
――――――ドォン――――!
一発の銃声が、耳に響く。
違法改造されたマグナムから発射された弾は、真っ直ぐコナミへと向かう。
弾は腹にあたり、走る体勢が崩れる。
「――――終わりだッ!」
奴に飛び掛り、胸にプラスティックの爆弾を置く。
「―――――改造なんか――――されてないほうが、お前は強ぇーんだよ―――!」
―――起爆ボタンを、押す。
―――――背に、熱風が吹いてくる。
「・・・・俺の・・・・勝ち、だ・・・・」
俺は、振り向こうとはしなかった。
【sample-c 死亡】
【残り9人】