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――――ここは、どこだろう?

――――私は、どうしてこんなところに――――?

――――ああ、そうか。

――――神木さんや外藤さんが戦っているのを見て・・・気絶しちゃったんだ。

――――暗いな、ここ・・・・。

――――眠れば、元に戻るかな・・・・?

――――分からないけど、そうしよう・・・・・。



「――――日出子――――!」



―――目を瞑った時だった。

暖かい声が聞こえ、私は飛び起きた。

「―――お父さん―――?」

私の目の前には、前見たときより確実に痩せているお父さん。

「・・・日出子、無事か?どこにも怪我なんかしてないか?」

お父さんが、真剣な目つきで聞いてくる。

「ええ、私は大丈夫だけど・・・・。
 お父さんこそ、大丈夫なの?背中に、斧が―――」

背中を見る。

斧は、どこにも刺さっていない。

「ああ、もう大丈夫だ。
 今は、逆に体の調子がいいんだ」

そう言いながら、お父さんが体を動かして見せる。

「なんで、ここに・・・・?ここはどこなの?」

「日出子の心の中、さ。
 私は、最後に日出子に伝えたいことがあって来たんだ」

「伝えたい、こと・・・・?」

「ああ。
 日出子、お前は―――迷っているんじゃないのか?」

「え・・・?」

「私の後を追おう、なんて考えているんじゃないのか?」

「・・・・」

私は、俯いてしまう。

「どうやら、本当にそうだったみたいだな・・・」

「・・・何で、分かったの?」

「そりゃ、私が日出子のお父さんだからさ」

「お父さん―――」

お父さんが、やさしい眼差しでこちらを見ている。

「いいかい、日出子」

口を開く。

「私の後を追う―――そんな馬鹿なことは、考えちゃダメだ」

「でも――――」

「日出子には未来がある。
 まだまだ、お前にはやることがたくさんある。
 それに―――明だっている」

「・・・・」

「私は、充分生きた。
 こんなしっかりした娘がいて、幸せだった。
 日出子には悪い父親だったかもしれないが、私にはとてもいい家族だった。
 ―――私に、思い残すことは――――」

そこまで、お父さんが言った時だった。

お父さんの目から、涙がこぼれる。

「―――一度でいいから、お前たちに・・・父親らしくしてやりたかったなぁ・・・・・」

「お父さん・・・・」

お父さんに近づいて、私は驚いた。

「お父さん、体―――」

「え?私の体が――――あ――――」

お父さんの体が、透けてきていた。

「―――そろそろ、お別れの時間みたいだ・・・・」

お父さんが、寂しそうな顔で言う。

「え・・・・!
 早すぎるよ、まだ・・・もうちょっとだけでも――――」

「―――そうはいかないみたいだ・・・。
 日出子と別れるのが、辛くなっちゃうからね・・・・」

「今別れたら、もっと辛いから!
 だから――――」

「―――日出子、明を―――頼んだよ――――」

「だから―――もう少しだけでも――――」

「――――バイバイ――――日出子――――――」

お父さんの体が、消えた。

「お父さん・・・・・」

――――私の意識も、ぼやけてきた。






「―――ホントに、パワプロ君なの・・・?」

「ああ、俺は1人しかいない。
 ――――本物の、パワプロさ」

「―――パワプロ君―――」

私は、パワプロ君に抱きつく。

「お、おいおい・・・・・」

パワプロ君の照れたような声が、上から聞こえる。

「―――あの時、私を守ってくれたのも―――パワプロ君、だよね?」

「―――ああ」

「でも―――パワプロ君って、ずっと前に――――」

「話すと長くなるんだけど――――とにかく、俺は蘇ったんだ。
 だから―――あそこにいたのは、紛れも無く―――俺さ」

「―――じゃあ、やっぱり・・・亀田君も・・・・?」

「・・・ああ、あれも―――夢なんかじゃない。
 俺は――――また死んだんだ」

パワプロ君が、寂しそうに言う。

「でも、また会えた―――」

「――――なーに誰もいないからってイチャついてんだ、キャプテン。
 見ているほうが恥ずかしくなるぜ」

突然、全く別の人の声が聞こえる。

「み、三鷹っ!」

「三鷹君!?」

私は、慌ててパワプロ君から離れる。

「伝えたいことがあるって言うから来たんじゃねえのか?キャプテン」

「あ、ああ。そ、そうだったね・・・」

パワプロ君がごまかす様に返事をする。

「―――とにかく――――。
 ―――明日香、話があるんだ」

パワプロ君が突然真面目な顔になる。

「何?話って―――」

「―――明日香は、今―――苦しんでいると思う。
 繊細な性格だからね――――。
 俺や三鷹が死んで、胸を痛めているんじゃないか?」

「え・・・・?」

「俺たちは、明日香を守って死んだ。
 だから―――明日香は、苦しんでいるんじゃないか?」

「・・・・・」

「もし、そうなら―――気にしないで欲しいんだ。
 明日香は、前を向いて―――笑っているほうが、俺は好きだ」

「おいおいキャプテン、突然告白かよ・・・・」

三鷹君を無視して、パワプロ君が続ける。

「俺たち、馬鹿だからさ。
 目の前で女の子がピンチなのを見ると・・・どうしても体が動いちゃうんだ。
 増してや―――相手が明日香だったらなおさらさ。
 俺たちがそうしたのは、明日香に笑っていて欲しいから――――。
 笑って、これからも生きて欲しいから。
 そのために、俺たちは行動を取ったんだ」

「でも、私なんて―――2人の大切な命を――――」

「関係無いんだよ、そんな事は。
 俺たちは、自分の好きなように動いたんだ。
 自分の好きなように、生きたんだ。
 ――――明日香、それを否定するつもりかい?」

「パワプロ君――――」

「明日香ちゃん、納得してあげてくれよ。
 コイツ、明日香ちゃんが納得するまでずっと言い続けるぜ」

「三鷹君――――」

「キャプテンの言う通り。
 俺たちは、俺たちらしく生きたんだ。
 だから―――明日香ちゃんが悩むことなんて、一つも無い。
 明日香ちゃんが、明日香ちゃんらしく生きてくれれば、俺たちはそれで満足なんだ」

「――――うん。
 分かったよ、二人とも。
 私は――――私らしく、生きる。約束する」

「・・・それを聞いて安心した」

パワプロ君が、近づいてくる。

「―――決心したなら―――いつまでもここにいる必要は無い――――」

パワプロ君の手が、私の目に覆い被さる。

「―――パワプロ君――――?」

「―――現実に、帰るんだ――――これからも、生きるために―――――」

「―――――――」

――――だんだんと、意識がなくなっていった。






「――――お父さん―――――」

「――――パワプロ君――――」





「鋼さん、2人とも―――――目が覚めたッスよ!」

【残り6人】