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「――――うわー・・・・・!
 見てくださいッス!鋼さん、小杉さん!
 初日の出ッスよ!
 大きいッス!凄いッス!」

「・・・太陽の何が凄いんだ?」

「俺もあまりそういうのに興味は無いな」

「・・・・2人とも、ホントに日本人ッスか?」

―――だが、確かに綺麗だな、と思った。



―――小杉が帰ってきて、二人が目覚めて。

小杉を見張りに残し、俺と小角は山に出かけた。

この島の隅々を歩き回り、あちこちで穴を掘って、埋めた。

途中、何回か知った顔に出会った。

ヘルガの時は、小角も苦しそうだった。

火葬をし、骨を埋める。

小角が、灰を今も持っている。

―――今、島に土には48人が眠っている。

―――――誰にも脅かされることが無い、眠り―――――。



「鋼さん、小杉さん、野球やらないッスか?
いや、むしろやりましょう!」

「・・・突然何言ってんだよ?」

「俺は別に構わんが・・・ボールやバットはどこにあるんだ?」

「それなら・・・これッス!」

小角が、体の陰からバットやボール、グラブを出す。

「雑貨屋にあったッス。
 小杉さんは確か元プロッスよね!期待してるッスよ!」

小角が内野手用グラブを掴む。

「しかし・・・人数が少なすぎないか?
 流石に三人では―――――」

「――――おいおい、ワシは仲間はずれか?
 小角、キャッチャーミット持ってきい」

外藤が現れ、小角に話し掛ける。

「え!?
 外藤さん、片手なのに大丈夫ッスか?」

「そんなの関係無いわ。
 ワシは外野も内野も捕手もできるスーパープレイヤーやからな。
 怪我ぐらいなんてこと無いわい!」

「・・・まあ分かったッス。持ってくるッス・・・・」

「――――で、バッターは誰がやるんや?」

「・・・俺はピッチャーをやらせてもらうぞ」

小杉がピッチャー用グラブとボールを持っていく。

「・・・・俺がバッターか」

俺は、その場に残されたバットを持つ。

ブルン、ブルンと軽く素振りをする。

「ふむ、意外としっくりくる・・・・。
 ―――金属バットか、よく飛びそうだ」

「キャッチャーミット、持って来たッスよ!」

「おう、じゃあ皆位置につけい!」

小角が内野手、小杉が投手、外藤が捕手。

「小角、内野じゃ取れないと思うぞ。
 外野に――――」

「――――おい鋼、俺の球が打てるとでも思ってるのか?」

「・・・さあな。お前のピッチングは見たことがない」

「・・・フン、まあいい」

「よし、プレイボールや!」

小杉が、ボールを振りかぶる。

(まずは見させてもらおう・・・・!)

小杉の手から、ボールが離れる。

外藤のグラブが、パチン、といい音を鳴らす。

「ストラーイッ!」

(フォーク、の様だが・・・・まだ何かありそうだな)

―――小杉の球は、スライダー、シュートと続く。

「ボール!」

「・・・・チッ」

2・1。

(・・・・・来る!)

小杉が、4球目を振りかぶる。

さっきの球より明らかに速い球は、真っ直ぐこっちへ来る。

(――――ストレート!)

俺は、全力でボールを打つ。

――――キーン―――――。

快音と共に、ボールが上がっていく。

「・・・うわー、でかいわー・・・・」

外藤の言う通り、かなり大きい。

それは、山の中に音もなく落ちる。

「・・・・小角、頼んだぞ」

「え、小杉さん、ちょっと・・・・」

(散った者への、プレゼント――――)

俺は、山に背を向けた。



「小角は今年もダイエーか?」

「そッス!
 今年こそは三冠王狙うッスよ、三冠王!」

「ほう、ええのう、三冠王。
 取ったら、ワシのたこ焼き屋紹介してくれや。
 『三冠王行きつけの店』・・・ってな!」

「いッスよ!
 その代わり俺が行った時は値引きして欲しいッス」

「―――それとこれとは話が別や」

「え、ちょっと外藤さーん!」

「・・・・お前ら、さっさと仕事をしろ」



「――――よし、準備はいいか?」

「こっちはオーケーッス!」

「食料と水、ちゃんと持ったか?」

「人数分あるッス!一週間は軽いッス!」

「―――――よし、出発!」

「うおー、航海ッス!」

――――俺達は、島を出た。

海なら俺は泳げるが、女子たちは流石に泳げない。

幸い木は豊富にあったため、俺達はイカダを作ることにした。

食料を町で集め、長旅に備える。

俺・外藤・進藤と、小角・小杉・倉刈に分かれ、二つのイカダに乗る。

「――――島が、後ろに見えるッス!」

当たり前のことだ。

しかし―――俺も、最後に見納めることにした。

「――――――この島で―――――――」

俺は、島を眺めながら口を開く。

「―――この島で散った者達の為にも―――――
 ―――――俺達は、これからも―――――生きていく―――――」

「――――」






――――ヘルガさん、俺はやったッス。

俺は、前を向いて生きるッス。今を。そして、これからを。

―――過去に囚われるんじゃなくて、俺は、過去を思い出しながら生きるッス。

この島で起こった出来事、俺は――――忘れないッス。

ヘルガさんの事も、思い出すッス。

―――――というより・・・・忘れられないッス。

今から考えれば――――一目ぼれ、ってやつッス。

俺、ヘルガさんの事―――好きだったッス。

だから、これからも―――ヘルガさんに言われたこと、絶対忘れないッス。

――――さよならッス、ヘルガさん。






――――お父さん、私、大丈夫だよ。

明も、ちゃんと面倒見る。だから心配しないで。

―――お父さん、言ってたよね。

『一度でいいから、お前たちに父親らしくしたかった』・・・って。

―――お父さんは、充分父親らしかった。

私たちをいつも守ってくれて・・・苦労ばかりして。

一緒に遊ぶって事は少なかったけど、お父さんはとっても父親らしかった。

学芸会・・・見に来てくれたこともあったよね。

―――お父さんは、私の自慢の父親だよ。

――――ありがとう―――――日本一のお父さん。






――――ワシな、気絶しながら色々考えたんや。

お前ら殺した神木は、ワシを守って死んだ。

ワシが仇討つはずやったんやが・・・・。

ワシには、どんな行動が正しいのか分からん。

一つ分かるのは、今度亀田に会ったらボコボコにするっちゅー事だけや。

――――神木も、色々考えとったんや。

勘違いとは言え―――人を殺してもうた。

そして―――自分の罪を、償おうとしたんや。

――――命と、引き換えに。

――――――罪は、消えん。だけど―――――

許してやって、くれんかね?奴は、奴なりに動いたんや。

―――ワシは、これからも生きる。

お前らの分も、生きる。だから――――神木のことも、分かってくれや。





――――コナミ、俺は――――帰る。

プロに戻るかもしれないが、どうするかは分からない。

だが、一つ約束しよう。

お前と交換したこの体、決して無駄にはしねえ。

最期の最期まで―――俺は、俺らしく生きる。

お前は、あんな奴に捕まっちまったが――――

お前は、俺の中でまだ生きている。

――――それだけは、言いたい。

―――――――最後に――――――

―――最後に、お前と決着がつけられて良かった。






――――パワプロ君、三鷹君。

2人が守ってくれた前に、もう1人―――私を守ってくれた人がいるんだ。

寺岡さんって言うんだけどね、いい人だったの。

その人も、パワプロ君たちと同じ様に―――生きていたのかな?

自分らしく、生きていたのかな。

パワプロ君、もし会えたら聞いて欲しいな。

そして―――伝えて欲しいな。

私は、これから―――私らしく、生きる、って。

――――パワプロ君、三鷹君、寺岡さん―――――。

――――ありがとう、そして――――さようなら。






――――黒松、迅雷――――。

2人のお陰で、ようやく一つのことが成し遂げられた。

6人だけ――――だが、生き残った。

―――俺達は、このことを忘れない。

この島で経験したことを―――忘れない。

お前らと言う人がいたことを――――忘れない。

―――私は、お前らに何か出来ると言うわけではない。

――――ただ、生きることしか、出来ない。

――――だが――――――。

これだけは、言っておく。

俺達は、散っていった者たちの分も――――生きる。

そして――――これからも、伝えていく。

お前らの生き方を―――――。

そして、お前らと生きていた、自分達を――――。

――――いつか、俺も死ぬ日が来る。

―――――その時まで、俺は全力で走り続ける。

―――――――自分の進む道を、歩み続ける――――――――。




PAWAPOKEROYALE  完